原題”To Kill a Mockingbird”小説は、ピューリッツァー賞。映画はアカデミー賞主演男優賞。あのローマの休日のグレゴリー・ペック主演の1962年の映画。人種差別が根強いアラバマ州で、白人女性への強姦罪で逮捕された黒人青年を弁護するグレゴリー・ペック演じる弁護士のアティカス・フィンチ。
人種差別の中にあって、黒人を弁護する弁護士ないない中、自ら火中の栗を拾うアティカス。筋が一本入った信念。間違ったことを間違っていると言える勇気。真面目で誠実な人柄が表れている。
この事件の出来事を、娘のスカウトが回想していく。スカウトは父親が大好き。厳しくて思いやるのある父親。男勝りで喧嘩も強い。決して大自然の中でないけど、街の小さい自然を謳歌している。
冒頭から綺麗な映像。これは何なのか?作品も中盤以降に分かってくる。仕掛けも面白い。
1932年といえば、世界恐慌の時代。時代背景から当時の情勢。社会の風潮。
尊敬している弁護士の父親の姿を子どもの視点で捉えた世界。差別や偏見、大人社会。
純粋な子どもの視点からはどのように映るのか。
社会とのつながりの最小単位は家族。そして次は隣人。学校、地域へと広がる。
スタンド・バイ・ミーのような何とも懐かしい感覚。そして深呼吸をしながら回想したくなるような余韻。
そんな中でも、単なる正義感だけではなくて、中庸という選択。
核心はなんといっても原題”To Kill a Mockingbird”文字通り、マネツグミという「物まね鳥」マネシツグミは一体誰なんだろうか。
それは黒人青年トムであり、隣人の内気なブーでもあり、娘のスカウトその兄のジェムでもある。そして、今回の被害者と名乗っったマイエラかも知れない。
無知とは怖い。
今から56年ほど経った作品であるが、今でも十分学ぶべきところが多くある。
相手の立場に立って思い遣る心である。
「人を理解するには、その人の靴を履いて歩け!」
相手の靴を履いてみること。人としての基本のあり方なのに、なかなか出来ない現実。
とても考えさせられた映画であった。
投稿者プロフィール
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人財育成、技術系社員研修の専門家。東京都市大学特任教授。博士(工学)。修士(経済学)。専門は「電力システムネットワーク論」著者に「IEC 61850を適用した電力ネットワーク- スマートグリッドを支える変電所自動化システム -」がある.ブログは映画感想を中心に書いている。
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