ブラッドリー・クーパーと レディー・ガガの共演とあって、以前から観たかったこの作品。
後で調べたらこの作品は、1937年、1954年、1974年で、今回が4作品目らしい。
せつなすぎるこのストーリー展開。あらすじは、予告などで概ね知ってはいながら、それでも魅せられてしまう内容。才能を見出した大スターが若い娘の才能に惚れていくというストーリー。そしてチャンスを与えられた娘はスターの座に駆け上がる。逆に才能を見出したスターの彼は、彼女を舞台に挙げたにも拘らず、その彼女とは逆に、酒やドラックに溺れていく。坂を転げ落ちるように…。まさにスターとは「光と闇」。
それでも彼は、「闇」に堕ちながらも、それでも必至に愛している彼女のために頑張って復活を遂げる。このまま、ハッピーエンドにしてほしい。そう願った。しかしそれだけではこのストーリーは終わらない。最後は破滅の道を…。そのエンディング。そしてエンドロール…。それがなんとも切なく、泣けるのだ。
なんと言っても「レディ・ガガ」。半端な無い演技。いつも厚化粧で素顔が分かりづらい彼女。映画のガガは素顔。そして彼女の半生も気になりつつ…、重なった。溢れた。あらためて相手を思い遣るとはどういうことか、普段から余りそうしたことに意識して生活していない自分のそうした立場からすると、少し考えてしまう。
互いに相手を思い遣るからこそ、身を引くという気持ちがなんとも切ない。でも拙速ではなかったのか?やり切れない。もう少し二人で話し合っても、弱さを出し合っても良かったのではないか?最終的にそれを選ぶことなんてないような気がする。せっかく、せっかく頑張ったのに、生まれたことも奇跡、ここまで生きていることも奇跡、この広い世界の中で、偶然の出逢いも奇跡に近い。惹かれるとは、惹かれ合うとはそういうことではないだろうか。あまりにラストが切なすぎる。
そして、そのストーリーに加え、なんと言っても歌。歌である。ミュージカル映画。エンタメ映画でもあるのだ。とにかく歌詞が、歌詞がもの凄く刺さる。共感とは、単に演技だけではなく、音楽、あの歌唱力、歌声からも感じることができる。二人のデュエットもいい。詞そのものが作品のストーリー、その時々の瞬間に、そしてその気持ちに合致して、刺さってくる。「シャロウ」が刺さる。こんなにも音楽は人を魅了するのか。多分、歌を作った人がどういう生き様だったのか、その歌詞が刺さるのだ。「ボヘミアン・ラプソディ」と同じように、音楽で泣かされることもある。まさに音楽が物語そのものなんだ。愛らしさや素直な人間味あふれる気持ちが凄く伝わってくる。
12音で表現できる音楽の世界。人生を奏でる。ちなみに12音とは、半音階を形成する 12の音を平等に1回ずつ用いた音列を作曲の出発点としたものらしいが、そのセリフもいい。
恐らく人生とは複雑に見えて、実は簡単な組み合わせなのかも知れない。しかし、その簡単な組み合わせにも拘らず、それでいて、階乗ですよ。つまり…
12! = 479,001,600 だから複雑になる。そう考えると実に奥が深い。単純の中に複雑がある。
人生とは実にシンプルであり、複雑なのだ。
そしてこの作品。2作目の1954年のジュディ・ガーランドといえば「オズの魔法使い」のオーヴァー・ザ・レインボウ。それをも感じることができる。そうした旧作と重なるところも本当に粋である。サントラ盤を買います。ハマりました。★★★☆☆
投稿者プロフィール
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人財育成、技術系社員研修の専門家。東京都市大学特任教授。博士(工学)。修士(経済学)。専門は「電力システムネットワーク論」著者に「IEC 61850を適用した電力ネットワーク- スマートグリッドを支える変電所自動化システム -」がある.ブログは映画感想を中心に書いている。
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