これも先月封切りした作品でタイミングを見逃した映画でした。機内で観ることができて良かった。
アポロ11号を描いた最近の作品では2年前の2017年10月に観た、あの天才数学者黒人集団の「ドリーム」。これが忘れられない。この作品も同様に逆境を跳ね返すパワーをいただけるのではないか。そんな想いで、人類初の月月面着陸というあの偉業を成し遂げた物語をどういった表現をするだろうかと期待した。しかしながら、見事にその期待とは全く違った描き方で、逆にこれも映画の醍醐味なのかと別の意味で感心させられた。流石アカデミー賞受賞作品である。ただ単に苦労した、偉大な人だった、という表現ではなくて、人間、人としてどうだったか。淡々と描かれている。逆にそれが新鮮でもあった。
主演は同じく2年前の2017年3月に観た「ラ・ラ・ランド」のライアン・ゴズリングがアームストロング船長役、そして今年1月に観た「蜘蛛の巣を払う女」のクレア・フォイが、妻役である。多くの映画に接すると、こうした一流の俳優というのは演じる能力というのは半端ないことがよくわかる。役者に徹することができるからこそ、作品も生きてくるのだ。妻の夫に対する家庭への不満。それに応じる夫。日常生活も描かれていて、普通の家庭生活を垣間見た気もする。
あの冷戦時代、ソ連との宇宙競争は一体なんだったんだろうか。アポロ計画、人類が史上初めて月面に足跡をつけたシーン。そうした栄光の裏側には、アームストロング船長の「幼い娘の死」や「同僚の不慮の事故」。そして「国家の使命」とも言うべき重圧。その一方では、世間では税金の無駄遣いという批判もあった。人種差別の象徴としての一面も描かれている。様々な事が彼自身に重くのしかかってたのだろう。強靭の心と身体を持ってして初めて達成できた偉業なのだろう。よっぽと強いメンタリティの持ち主ではないと務まらないことなのだろう。そうした事が如実に描かれている。彼は、一見、寡黙で感情を表に出さない一見沈着冷静、別の味方では冷酷という側面もある。それには深い心の奥底に想うものがあったのではないだろうか。
アカデミー賞の視覚効果賞受賞しただけに、そしてポスターのフレーズにもあるように「月への不可能な旅路を体験せよ。」は、文字通りあたかも作品を観ている私達がまるで飛行船に乗っている、そんな感覚に陥る作品だけに観るなら映画館だったらもっと迫力があって集中できただろう。狭いコックピットはさぞや息が詰まるだろうし、その閉塞感。広がる宇宙。これはやはり大画面で観るべき映画だったと悔やまれる。★★☆☆☆
投稿者プロフィール
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人財育成、技術系社員研修の専門家。東京都市大学特任教授。博士(工学)。修士(経済学)。専門は「電力システムネットワーク論」著者に「IEC 61850を適用した電力ネットワーク- スマートグリッドを支える変電所自動化システム -」がある.ブログは映画感想を中心に書いている。
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