オススメ度:★★☆☆☆
理由:ドキュメンタリー作品は、間延びする点がある。
インタビューを切り取るので、多少は仕方のないところである。
しかしノンフィクションである。
事実と真実、ドキュメンタリー作品は、ゆるぎのない事実は確認できる。
後は真実をどう見せるか。真実の探究は、観る側の感覚を研ぎ澄まさねばならない気がする。
本作品は、沖縄の瀬長亀次郎のドキュメンタリーの第二弾である。
残念ながら第一弾は、その機会を逃して見ていません。その生き様を知る上で観たいと思います。
カメジローのその思想、考え方はともかく、ブレない姿勢が凄い!まさに不屈の根性!戦後、那覇市長や衆議院議員を務めた人でもある。
ここまで頑固に自分の信条を貫き通した男は珍しいと思う。
私は、本作品を観るまで、正直、瀬長亀次郎のことは知りませんでした。
彼は2001年に94歳で亡くなっています。
彼の奥さんフミさんも100歳で亡くなっている。ともに長寿ですね。
彼の天性の人の良さ。自分のことは後回し。よろず相談にのる。
お金に困っている人があれば、奥さんが借金してその人を助ける。良妻の存在も大きい。
彼は、医者をめざして鹿児島大に入学するも、社会主義運動に加わり結局は大学を追われ、親からも勘当させられた。
治安維持法違反で刑務所に服役もしている。
譲らない「不屈の精神」の持ち主であることは間違いありません。
本作品は沖縄人民党を全面に打ち出し、共産党への合流についてはあまり話題にしていませんでした。
政治色を抑えた作品になっています。おそらく、どの政党というよりも、その人物に焦点を当ててますね。
そうしたカメジローの思想や考え方は、必ずしも私は同意しかねますが、その生き様は共感します。
当時日本に復帰する前の沖縄。
彼は、正面から反米を掲げ、米国民政府からも煙たがられてもいる。
米国民政府から被選挙権を剥奪される。政治家でありながら、被選挙権を剥奪という八方塞がりの状態。
まさに絶体絶命。そんな中にありながら、それでも諦めないという彼の姿勢は、本当にすばらしいと思う。
選挙権はなくても立候補はできる。すごい発想だ。
人はそれぞれ、生まれも育ちも環境も違う。
だから、そうした中で生まれる思想や考えも人によりさまざまである。
そうした違いを認めながら、大きい「目的」のためには協調をとっていく必要があるのだ。
まさに「大同小異」である。お互いに違いを認め合う。内紛をしている場合ではないのだ。
そういう考え方は実に道理である。
だた、カメジローの言っている協調・大同小異は、少し違っている。
一般には「大同小異」とは小異を捨てて大同につくである。
しかし彼、カメジローは、「小異も捨てないで、大同につく」というのだ。
小異も捨てない。そこがいい。自分の考えを持つことは悪いことではない。
投稿者プロフィール
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人財育成、技術系社員研修の専門家。東京都市大学特任教授。博士(工学)。修士(経済学)。専門は「電力システムネットワーク論」著者に「IEC 61850を適用した電力ネットワーク- スマートグリッドを支える変電所自動化システム -」がある.ブログは映画感想を中心に書いている。
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