胸クソが悪くなること半端ない,それほどハマった「MOTHER マザー」

オススメ度:★★★☆☆(3.5)
理由:子どもは親の影響を受ける.
溺愛しているのに,
それがまるで自分の言うことを聞く
ペットのような扱いをする母親.
その母親を唯一無二としれでも
離れようとしない息子.
そうした微妙な関係について,
悶々としながら
現実を見つめたい人にはオススメ.

この作品は実際に起きた
「17歳の少年による祖父母殺害事件」を
元にしたものだ.
少年の母親.最低のシングルマザーの秋子役を
長澤まさみが演じている.

誰とでも男と行きずりの関係をもつ.
子どもは自分の道具.持ち物.
場当たり次第の人生.

この少年は助かる道は果たして
なかったのだろうか?
幼少時代,父親が引き取った方が
良かったのではないか.
それでも少年はあれだけの仕打ちを
受けていてもなお,母が大好きなのだ.
その仕打ちですら,
それを母からの愛と感じるのはなぜか.

祖父母を殺害するに至った理由は何か.
あの死んだような目.
でも真面目に働くし,勉強意欲もある.

子どもは母親の持ちモノ.
そして自分の分身で舐めるようにして
育ててきた…という母親.
まるで愛犬のように….
自分の命令は絶対,つまり犬の躾と同じだ.

シングルマザーもクズなら連れてきた
阿部サダヲが演ずる内縁夫も,
どうしょうもないクズ.

最終的には17歳の自分の子どもに
実の祖父母を殺害させるのだから.
それにしても
クズの母親から離れる機会はあったと思う.

この作品は,万人受けを狙った
マーベリックやディズニー作品とは違い,
胸クソが悪くなる作品には違いない.
その表現,汚い言葉遣い,暴力.それが現実なのだ.
むしろ綺麗事で解決することが少ないのではないか.
「新聞記者」も正義や正論ではなく,
それができない現実.
だからこそ見ている観客は見え終えた後に
悶々する.

この事件の背景や,
少年の告白を聞くと,それが現実なのかと.

社会の底辺で生きている家族,
「万引き家族」「パラサイト」
そうした優れた作品には遠く及ばないにせよ,
実話を題材にした作品としては「ある少年の告白」に
近いかもしれません.

消極的で死んだような目,
でも真面目に働くし勉強意欲もある.
自身がなさそうな動き.
そうした性格は持って生まれたものではなくて,
環境だと思う.親の接したが物凄く影響するのだろう.

できの良い妹とできの悪い姉の秋子.
それは環境なのか.
妹を罵倒し,母親を責める姉.
情状酌量の余地が微塵もない秋子ではあるが,
この気持だけはわからないわけではない.

恐らく,秋子の気持ちをわかってくれる人は,
家族も含め誰一人も居なかったのだろう.
でも環境や人のせいにしても
解決には繋がらない.
それでもそうした生き方しか
できない気持ちも少しは理解できる.

投稿者プロフィール

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天雨 徹
人財育成、技術系社員研修の専門家。東京都市大学特任教授。博士(工学)。修士(経済学)。専門は「電力システムネットワーク論」著者に「IEC 61850を適用した電力ネットワーク- スマートグリッドを支える変電所自動化システム -」がある.ブログは映画感想を中心に書いている。
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