2部構成になっている作品,一粒で二度美味しい『WAVES/ウェイブス』

WAVES

オススメ度:★★★★☆(4.0)
理由:諦めずに,
どんな悲惨なことがあっても,
生きていくしかないんだ.
そんな中で,どうせ生きていくなら,
前を向いて,魂の喜ぶ,
そして,その魂が輝くことを
見つけていくしかない.
そんなことに
気づかせてくれる作品です.

実に深い,そして重い.
美し映像とは全く大違い,内容は深い深い.
とっても深い闇.決してスッキリした
恋愛作品ではないので,要注意です.

決して甘い愛で泣ける訳ではない..
まさにダーク.でも後半はそうでもない.
だから作品としては面白い.

絶望,その後のこれからの生き方.
万一,そうした不幸に出会った時,
どう接するか,どう生きるか.

事件が起きた後,妻は顔も見たくないと夫に言う.
一方,夫は謝り続ける反省の日々.

あの時,息子のことを思って頑張った自分.
それが全否定されれる.
「あなたが,あんなに厳しくするから…」と.
とても複雑…考えること一杯になる作品.
でも,これぞ映画.

そうなった時にどう生きるか?
逆に教えてくれる作品でもある.
心に重くのしかかるいい作品だった.

高校生のタイラー.
こんなに恵まれている家庭に育ちながら
何故こんなことに.
厳しい父親に対して,
何も言えなくなるタイラー.
父性といえば,
「エヴァンゲリオン」を思い出す.

そうした両親に何も相談できない環境,
それはやがて大きな事件に進展する.
そんな事件を背景に身内の状況は…
これを1部とするなら,

そんな家族の状況を
特に妹のエミリーへ焦点をあてて,
表現していくのが2部の作品となる.

1部は,激しい心の衝突,
憎悪を表現した荒々しい作品だ.

一方,2部は心休まる,
家族愛・恋愛を考えるゆったりとした作品
まるで2本の作品を
見ているような感覚.
実に映画らしい作品だ.

人は感情の浮き沈みについて,
息子.両親.妹,周囲.
身内を愛する気持ちと,
逆に憎しみと…複雑な感情.
愛情も恋人同士,
親子,友人,兄妹.光と影.

奈落の底に落とされたような感覚.
ああ,
何故こんなことに
なってしまったのか.
人の心の動きと
その行動が実に
素直に現されている.

それにしても高校生なのに,
マリファナにお酒,やることが大人顔負け.

中産階級の家庭で恋人にも恵まれ,
アスリートとして
夢に向かって頑張いるタイラー.
そんなアスリートに致命的な肩のケガ.
それを両親に言えない自分.

親が期待しているその重圧、
そして周りの期待も半端ない.
彼女は,なんとPregnant.
キリスト教.カトリック…となると難しい.
積み重なる苦悩がもの凄くリアルに
描かれていている.
だからこそ,怖くもなる.

あるかもしれない.犯罪とは紙一重だ.

自分のことを見失うことも,
特に若い頃はあるかも,しれんません.
それは,自分自身が未熟なせいではあるけど,
決して,両親や周り,まして人のせいではない.
その彼自身のせいだから.

WAVES2

そのような結果になったのは,
本当は環境のせいでも,
また人のせいでもないのだ.

投稿者プロフィール

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天雨 徹
人財育成、技術系社員研修の専門家。東京都市大学特任教授。博士(工学)。修士(経済学)。専門は「電力システムネットワーク論」著者に「IEC 61850を適用した電力ネットワーク- スマートグリッドを支える変電所自動化システム -」がある.ブログは映画感想を中心に書いている。
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