オススメ度:★★★☆☆(3.0)
理由:実話に基づく作品だけに,
やはりフィクションではない凄みがある.
彼が言った.「死は怖くない」
「でも死ぬ時は死ぬんだ」と.
しかし,わざわざ死ぬことはない.
生きること.
生きるとは,おそらく,
好きなこと.守ることをするということだ.
それが
作品を通じて垣間見た気がする.
イタリアのマフィアで,後に身内の裏切りと
逮捕を機に組織犯罪について証言し,
何人もの仲間を刑務所送りにした
実在したブシェッタの半生を描いた作品だ.
80年代のイタリアシチリア.
シチリアのパレルモでは,ヨーロッパ中の麻薬が
ここに集まってくると言われるほどの
犯罪の街.
そこは犯罪組織「コーザ・ノストラ」が
牛耳っている.
ただ,その組織も一枚岩でない.
ブシェッタ率いるパレルモ派とコルレオーネ派の
対決があった.絶えず抗争が絶えない.
そこで仲裁にのりだしたブシェッタ.
それが失敗に終わる.
ブシェッタは,失敗を機に抗争を避けて
リオデジャネイロに逃れた.
しかし残された家族や仲間は,
コルレオーネ派の報復を受け,
次々に抹殺されていったのだ.
他方,ブシェッタはブラジル当局に拘束され,
拷問に合うも口を割らず,
ついにはイタリアに強制送還される.
そこで,マフィアの壊滅に命懸けの
ファルコーネ判事と出会う.
ブシェッタは,泥沼の抗争で
麻薬と殺人に明け暮れ堕落した犯罪組織
「コーザ・ノストラ」に失望していた.
そんな彼は,ファルコーネ判事からの
捜査への協力の求めに徐々に応じていく.
ところで,「コーザ・ノストラ」とは,犯罪組織で,
第二次世界大戦中にアメリカが強制送還した
ラッキー・ルチアーノに対してつけられた組織.
ボスを頂点とするピラミッド型.組織について
沈黙を守るよう定める血の掟があるのだ.
その組織を裏切った彼.
その後は果たして….
イタリアの裁判は,開かれている感じが半端ない.
まさに牢獄化した異様な大法廷だ.
法定の一方で,仁義なき抗争は並行展開していく.
手に汗握る.いつ殺されてもおかしくない.
留置所に入れば安全だ.
そして,
ファルコーネ判事暗殺.
この作品表現がまさに圧巻だ.
「血の掟」をも裏切りたくなるぐらいの
理不尽な社会.
一番何が大切なのか.
何を守るのか,
そんな時,
一時の感情で
すべてを台無しにすることがある.
感情は時に冷静な感覚を麻痺させる.
特に愛する家族の前では,
父親はそうなる可能性がある.
台無しにしないために,
何をすべきか.感情を殺してでも
対応することが必要なんだ.
そう感じた.悔いても悔いきれない.
守りたい家族であればこそだ.
何だか切ない.
投稿者プロフィール
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人財育成、技術系社員研修の専門家。東京都市大学特任教授。博士(工学)。修士(経済学)。専門は「電力システムネットワーク論」著者に「IEC 61850を適用した電力ネットワーク- スマートグリッドを支える変電所自動化システム -」がある.ブログは映画感想を中心に書いている。
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