オススメ度:★★★☆☆(2.8)
理由:なんでも無我夢中で取り組むけど,
空回りする.それでも止めることはできない.
なぜなら時間が止まらないからだ.
共感するところも少しある.明日は我が身だ.
思い通りのストーリーを
描いてくれないのが人生.
このもどかしさを,
八つ当たりできる相手が友達が
パートナーが欲しい.
でもそれは,なんの解決にもならない.
でも友達は大事なんだ.
そんなことをあらためて確認できる作品だ.
キャッチコピー
「踊っても、踊っても、切ない」
まさにそのとおりの作品だ.
失読症で不器用なジム,
ジム役のジム・カミングスは
監督・脚本・編集・音楽の
5役をこなしている.
母の支えがあればこそここまで
生きてこれた.母に無償の愛を
感じているジム.
失読症の代読をしてくれた,
そんな支えで,何とか大学を
卒業できたのだ.
そして彼はテキサス州の警官.
そんな愛する母は亡くなり,
葬儀で代表を務めるジム….
葬儀のスピーチで失策,
妻娘との別居,一人娘の親権争い,
家裁調停,仕事…何をやっても空回り.
せっかくのお誘いも,
そこでの会話も殆ど噛み合わない.
話せば話すほど人の神経を
逆なでする.
救いようのない残念な人.
泣いても笑っても,
何をしても痛々しい.
と思ってしまう.
離したくない
手放したくない娘.
その娘が「手遊びしたい」
と望めば,それを練習して
できるように必死に頑張るジム.
悪気はないけど,空回りすること,
あるある.
でもこれほど運がついていない,
冴えない男も周囲には
いないのではないだろうか.
自分に怒っているのか
人に怒っているのか,
怒りはすべてを台無しにし,
結局は自分に降りかかる.
ジムがもう少し感情を
抑制できる人であれば,
運命も変わって言ったと思う.
キレる原因の殆どが
自ら起こしたことでもある.
まさに自業自得なのだ.
不器用な彼が,情緒不安定な彼が,
それでも何か改善したいという努力を
していると感じとれる.
そこが少し救いでもある.
意に反して自分の人生に起きる不運.
全く自分ではコントロール運命.
それでも時は流れる.
進んでいくのだ.
何が転機となるのかはわからない.
家族・職場からも見放され,
それで一人ぼっちでも,
誰かが応援してくる人がいると心強い.
最愛の母を想う.
母性への愛とかコンプレックス.
彼・ジムも心が病んだ人なのだろう.
時間は戻せないから後悔よりは,
反省が必要なんだろう.
泣いて悔やんでも何も変化しない.
変化するには行動が求められる.
しかし彼が
もし行動すれば,
何故か負のスパイラルに回転していく.
それでも,行動していくしかなさそうだ.
娘の親権を左右した,
あの葬儀での奇妙なダンス…
それは自分なりに精一杯
頑張った母への愛.
そんな彼の想いは裁判官には
奇行に映る.
高望みしても今の暮らしが一番なのだ.
そこには希望の光がある.
そして,どんなに辛いことが
娘の身に連続で起きたとしても,
そこから連れ出す.
どん底から救うのが
父の愛なのかもしれない.
それも希望の光なのだ.
投稿者プロフィール
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人財育成、技術系社員研修の専門家。東京都市大学特任教授。博士(工学)。修士(経済学)。専門は「電力システムネットワーク論」著者に「IEC 61850を適用した電力ネットワーク- スマートグリッドを支える変電所自動化システム -」がある.ブログは映画感想を中心に書いている。
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