オススメ度:★★★☆☆(3.0)
理由:確かに,青すぎる.そして痛いし,
すぐにでも綻び崩れてしまうような脆さ.
それが若いということかもしれない.
未熟とはどういうことか.
それが,明確なまでに
はっきりわかる良い作品です.
予告編で勘違いしてしまう作品だ.
サスペンスでもホラーでも,
エンタメでもない.リアルな青春映画だった.
あの君膵の(著:住野よる)の作品である.
大学のサークル立ち上げ,よくある設定だ.
なるべくなら人と付き合いたくない,
ある程度距離を置きたい大学生・田端楓(吉沢亮)と,
そして理想論を素直に思ったことを
場の雰囲気を考えずに行動する秋好寿乃(杉咲花).
2人がこの戦争がない平和の世界を作るために
立ち上がる「世界を変える」というスローガン.
その元で,秘密結社サークル「モアイ」を立ち上げた.
確かに,とある大学の数十人,
あるいは数千人集まったところで,
何か変わるのか?と思うかもしれない.
でも,それは決して無力ではない.
微差ではあるが,本当に世界を変えようと
している人はいる.例えばテラ・ルネッサンスの
鬼丸昌也さんもその一人である.
微差の積み重ね,それは無力ではない.
少なからず影響を与えている.
所謂,カオス理論の「バタフライ効果」.
「ブラジルでの,ある1匹の蝶の羽ばたきが,
アメリカのテキサス州での竜巻の発生につながる」から.
結局は楓という男子学生,
彼が未熟があるが故の結果だ.
独りよがりなのだ.でもそれでいて,
彼を責めることはできない.
今でこそ,たくさんの失敗を
経てわかったこと,
成熟するとわかることで,
私も当時はあんな風に未熟だったに違いない.
怒りや妬み,憎しみ,抑えられない感情.
捻くれているから素直になれない.
だから,その行動がどんどんエスカレートして
大きくなっていく.
勝手な復讐とでも言えなくもない.
楓は,秋吉のことが好きなら,
好きとちゃんと告白する.
素直に言葉にして表現する大切さを痛感する.
相手に伝わらないと意味がない.
確かに言葉がなくても通じる…
ノンバーバルで,表情で伝わることもある.
でも,それだけで通じると言うのは存在しない.
やっぱり「言葉」にしてこそだ,
分かり会えるには言葉は本当に大事.
シドロモドロ…になって説明できないのは,
綻びができる.それがますます大きくなる.
バカにされたくない,傷つきたくない.
どんなに恥をかいても,
人は案外丈夫で,
死にたくなるぐらい落ち込んでも,死にはしない.
逆に靭やかな自分が形成される.まさにレジリエンスだ.
告白できないまま,ズルズルとモヤモヤを貯める…
第三者から見たら,「気持ち悪!」な
男子学生だ.
でも,そんな楓が憎めないし,
むしろその行動にも共感を持てたりする.
脆くも壊れてしまったとき,
遭わなければよかった.
はじめるから,このような結果を得る.
だから,最初から空になれば,
だれも傷つくこともない.
そんな考え方に共感する.
確かにそうした考え方もある.
そのように思ったこともあった.
でも,ワクワク感がなくて,
最後には虚しさだけが残るんだよね.
そうした考え方には.
結局は相手の良いところも悪いところも,
すべて認めるということだ.
経験するかもしれない.自分を着飾ること.
深層はどうなんだろう.本音はどこなんだろう.
自分に自分を嘘で固めた意固地になることもある.
やがては,その意固地がバカバカしくなり,
素直になることが一番だと気づく.
それには時間や経験・体験・失敗を重ねないと
わからないもんなのだ.だから面倒くさい.
もっと何も経験せずに悟りを開きたいのだが,
理解するとは身を持ってすることだからだろう.
人の変化に遅いとか回り道とかはないし,
何度でも試してみればいい.それしかないんだ.
投稿者プロフィール
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人財育成、技術系社員研修の専門家。東京都市大学特任教授。博士(工学)。修士(経済学)。専門は「電力システムネットワーク論」著者に「IEC 61850を適用した電力ネットワーク- スマートグリッドを支える変電所自動化システム -」がある.ブログは映画感想を中心に書いている。
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