オススメ度:★★★★★(4.9)
理由:これぞ名作!
これから,そう…今から
どのように生きたら良いかのか.
真に教えてくれる作品だった.
こんな作品は,世の中にそんなに
たくさんありません.
これは劇場でしか味わえない.
良かった.
生きるうえで,非常に考えさせられる
名作です.音楽,画像,人のぬくもり…
何もかもが美しい.完璧な作品だと思う.
船の上で生まれ,一度も船を
降りることなく,船上でピアニスト
として終えたの生涯を描いた作品.
1900年。豪華客船ヴァージニアン号に
置き去りにされた赤ちゃん.
その名は「ナインティーン・ハンドレッド」
99年に日本で初公開されたこの作品が
約20年の時を経て,再び当時の監督であった
トルナトーレの監修で,4Kデジタル修復版
(121分)として公開され,さらに170分の
「イタリア完全版」としても公開された.
20年前に,この作品を映画館で
観ていたとしたら,どんな感情を
抱いていたんだろう.
今は,彼の気持ちに共感して
涙が止まらない.
欲しいものとは,限りある方がいい
のかもしれない.有限だからこそ,
無限の可能性や創造が膨らむのかも
しれない.無限に続けば,終わりなく
欲していくに違いない.
船という限られた世界は,取捨選択の
楽しみを与えてくれる.
丘に上がれば,便利なようで
実は時間に縛られ,いつしか
しなければならないことが
山のように増え,いつまで経っても
心は豊かに満たされない.
無限の情報の洪水で溺れそうになる.
リアルな世界からバーチャルやクラウド,
非現実な世界とも繋がると.
それが返って煩わしくもなる.
無責任にしかも匿名による誹謗中傷,
絶え間ない言葉による暴力.
タラップを下り,陸に立てば,
陸から海の声が聞こえるかもしれない.
逢いたい人に会えるかもしれない.
無限より有限だからこそ,
それが光り輝き美しいのかも
しれない.
大西洋を横断する船に乗り込む人々.
またその船で働く人々.
それぞれに物語がある.
それを音楽という形で表現できたら,
どれほど素晴らしいことか.
彼はどんな気持ちでも
音楽を通じて表現できる
天才だ.それ故,海の音も
陸からの海の声も
聞きたいのだろう.
人として人を愛する,
信じることが
何よりの宝となるのだ.
自ら選択した道とはいえ,
その選択があまりにも
切なすぎる.
流されずに主体的に
生きてみたいと思う.
明日への希望をアメリカ大陸に
託す気持ち.熱狂する様が
当時の様子をよく描かれている.
現状に満足ぜず,常に前を向いて,
いつまで経っても満足しない.
終わりのない虚しさ.
船なら,乗客2,000人.それなら,
すべての人が把握できると彼は言った.
それ以上になったら,
自分の手には負えない…とも言った.
手に負えない範囲は避けることも
必要なのかもしれません.
170分の完全版が
特にお薦めです.
現実と非現実な世界が
交差する摩訶不思議な
世界に案内してくれる作品だ.
ナインティーン・ハンドレッドの
存在を知るのはマックスしかいない.
本当は実在していなかったのか.
でもレコード盤があるから
現実にあったのか.
終始マックスの目が泳いでいるのは,
わざと話の信憑性を問いかけている
ようにも思える.淡々とした
ナインティーン・ハンドレッドの
悲しい視線も,その仕草も,
その純粋な気持ちも,心打たれます.
また邪念いっぱいの
トランペット奏者のマックス.
少女役のメラニーもゾクっとします.
恋を追い掛けることと,
無限に広がる世界とは,
やはり「神の領域」だった
のかもしれない.
タラップを駆け下りない理由も,
躊躇した理由も,その揺れ動く
気持ちがたまらない.
平凡なのか非凡なのか,
そして幸せなのか不幸なのか.
人生はわからないけど,
選択は自分自身だということを
感ぜずにはいられません.
人は,人種も住む場所も
育った環境も,
実は幸せとは無関係.
だた言えるのは,
やはり人との出会いだ.
投稿者プロフィール
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人財育成、技術系社員研修の専門家。東京都市大学特任教授。博士(工学)。修士(経済学)。専門は「電力システムネットワーク論」著者に「IEC 61850を適用した電力ネットワーク- スマートグリッドを支える変電所自動化システム -」がある.ブログは映画感想を中心に書いている。
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