オススメ度:★★★☆☆(3.0)
理由:なんとなく,
こんな落とし所だろうなぁと,
邪推してしまいそうなストーリ.
夢はメキシコ.
その海岸は果たして幻なのか,
それとも妄想なのか.
夢は夢のままで,
恐らく永遠に叶いっこないのないか.
自由になるためには,
お金が必要だ.
お金は道具ではあるが,
そもそも道具がなければ
生きることすらできない.
妹が兄の思い出を回想のように
話すことで作品がスタートする.
1930年代の世界大恐慌.
テキサスの荒れ果てた土地.
痩せた土地に追い打ちをかけるような
干ばつ.砂嵐.
それでも,夕日は美しい.
しかし,厳しい生活の中にあって
自然も時折,美しさを見せては
くれるが,その美しさが
あまりに過酷な生活を
余儀なくされている人にとっては,
そんな神さまのメッセージなど
目にも入らないだろう.
自然の風景も見方によっては
気持ちも変わるのかも
しれないのに,
ほとんどの人には
そのメッセージが入らない.
痩せた土地と砂嵐.
年頃のユージンは
町を離れ,値千金を
狙おうとしている.
今は継父と母とそして妹との生活.
実父は離婚して
行方不明ではあるものの,
夢を追ってメキシコへ行って
今でも優雅な生活している…と
信じている.
砂漠化したテキサスから観た
メキシコには海がある楽園に
見えたのだろう.
現実を直視すると
そんなに甘くはないかも
しれない.
でも,せっかく見る夢なら
それを捨てることもない.
憧れを持つことは,
生きる希望にもつながるのだ.
銀行強盗で,
しかも殺人も犯した女性が
目の前に現れる.
納屋に隠れている.
その彼女の首には賞金が
かかっている.
保安官に差し出せば,
その賞金が手に入るのに….
彼はそれをしなかった.
その極悪女を治療するユージン.
彼は何とピストルで
撃たれた傷を治しているうちに,
強盗殺人犯の彼女に
情が移ってしまったのだ.
さあ,その後…
この二人は果たしてどうなるのか.
継父は前夫の息子のことを
憎んでいるかと思ったが,
以外にも,
そうでもないらしい.
以外に優しい面もあって,
救われたように感じだ.
世界恐慌でどん底の生活なのに,
そんな貧しいながらも,
根からの悪は
登場人物には居ない.
たしかに殺人だ.
過失と故意に分ければ,
故意ではない.
「動くな」というのに
「動くから…撃たれた」.
しかし,故意ではなくても,
殺人はやっぱり重罪だ.
弁解はできん.
極悪な女性にも
ピュアの気持ちがあり,
それがグッとくる.騙されている?
そうかもしれない.
でもそれでもいい.
そんな恋にも似た気持ち.
嘘の塊の悪女なのに,
一部信じられる部分もあり,
複雑な気持ちが,
よく描かれている.
そして何と言っても
ナレーターとして登場する妹.
彼女は賢い.賢過ぎる.
歳の離れた兄妹であるが,
それだけに,
いや,
それ以上に互いを
労る気持ちが愛おしくも思う.
なんとも言えない悶々とした
想いがした作品だ.
投稿者プロフィール
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人財育成、技術系社員研修の専門家。東京都市大学特任教授。博士(工学)。修士(経済学)。専門は「電力システムネットワーク論」著者に「IEC 61850を適用した電力ネットワーク- スマートグリッドを支える変電所自動化システム -」がある.ブログは映画感想を中心に書いている。
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