陰と陽は表裏一体,潜在意識の目覚めを感じる『キャラクター』

キャラクター

オススメ度:★★★★☆(4.0)
理由:スクリーンから目が離せない.
スリリングな展開で退屈な時間が全く無く洗練された良作.

菅田将暉,Fukase,高畑充希,中村獅童,小栗旬の豪華メンバー.
特に主役の菅田将暉,邪悪の世界を描くと人は体調に支障をきたす.
やつれたり,顔色に出るのか.恐怖感.罪悪感が伝わる.
SEKAI NO OWARIのボーカルのFukaseも半端ない演技だ.
手描き漫画からデジタル漫画へ.漫画を描いているシーンもリアリティがある

山城圭吾を演ずる菅田将暉.アシスタントではなくて,
将来は独立して漫画家なるのを夢見る青年だ.
人がいいため,どうしても「悪人」を描くことができない.

夢を我慢しない.でも諦めたくなる.
いくら絵が上手くても発想がないと駄目.
作品を描くことは創造することだ.
夢を諦めずに頑張れば,そこにたどり着く.
確かにそうかもしれないが.そんなに甘いものではない.
「キャラがないんだよなー」と言われると,それは落ち込むのが当たり前だ.
世には凄い作品を描く漫画家がいる.
彼ら彼女らは,一体どんな頭の構造なのかと感心する.
そのお陰でそうした優れた作品の読者となることができる.
ありがたい.感動する.

では才能とは一体なんだろう?

ものすごく絵が上手いだけは駄目.
見様見真似からオリジナルを創造するには,相当のインスピレーションがいる.
でもそれは練習ではなんともならない.
諦めたら終わり.
でも何をどうすれば売れっ子の漫画家になるのだろうか.
そんなキッカケというかフックが起爆剤になる.
わかったことは起爆剤に出逢うまで諦めないことだ.

良い意味でも悪い意味でも「ご縁」ご縁とはフック.
分水嶺とも言える.北に行くか南に行くかの分かれ道.
彼は殺人現場でFukase演ずる殺人鬼を目撃してから人生が転換した.

本来,備わっている能力.
それは眠っている能力だったかもしれない.
潜在意識が顕在意識に浮上してきたのだ.

出生届未届,無戸籍,スピリチュアルな理想郷,そこには社会問題.
そして夢を追う難しさ.狂気と熱意.
幸せとはいったい何なのか.結婚や妊娠.
殺害現場,刃物が突き刺さる痛みが伝わるアクションシーン.

心優しい圭吾が,
悪人の漫画を映画いているうちに,
どんどん殺人鬼のようなサイコパスの素質があったのかもしれない.
でなければ,あれだけの売れっ子漫画家にはなれない.
犯人逮捕に至らない点とか,
多少ツッコミどころはあるかもしれませんが,
それ以上に内容が面白く本作のテーマからしたら大した汚点にはならないかもしれません.
ラストも余韻を残した終わり方で実に良い作品だ.
続編を期待してます.

投稿者プロフィール

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天雨 徹
人財育成、技術系社員研修の専門家。東京都市大学特任教授。博士(工学)。修士(経済学)。専門は「電力システムネットワーク論」著者に「IEC 61850を適用した電力ネットワーク- スマートグリッドを支える変電所自動化システム -」がある.ブログは映画感想を中心に書いている。
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