裕福は必ずしも幸福とは限らない『くじらびと』

くじらびと(1)

オススメ度:★★★★☆(4.0)
理由;これは凄い.人は何故生きるのか.
ドキュメンタリー作品の中で,
人が生きるという意味.
幸福とは何かを考えさせられる.
バリ島・インドネシア好きには
堪らない作品だ.
伝統捕鯨の村人の生活を中心に
描いたドキュメンタリー映画.
まずは場所.
インドネシアといっても
島々が連なっており広い.
本作品のラマレラ村とはどこか.

インドネシアの東スラウェシ諸島の
レンバタ島にある小さな村.
人口は約1,500人.
インドネシアの位置関係・
地理感覚がある程度
ないと,単なる南の遠い島
として観てしまいがちだ.

インパクトのあったのは,
村人の1人が出稼ぎで
バリで働いた話だ.

バリで働いたことのあった
漁師が居た.
彼が言うには,
お金を稼いで裕福には
なったが
幸福感がなかったという.
毎日お金に追われて,
嫌になって,
この村に
帰ってきたという.

生きるために
お金は必要ない…
年に鯨が十頭捕れれば
村全体が食べていける….

そこには決して裕福な生活でない,
でもそこには幸せがあるのだ.
そこには儲けるための漁ではない.
だから乱獲もしない,
生活のため.
自然の恵み.
神々に感謝する.
祖先に感謝する.

テナという手作りの舟.
それは神聖な木造船.
銛でマッコウクジラを捕獲する.
共存捕鯨で生きている村人達.

世界でも唯一
生存捕鯨が認められている
ラマレラ村.
銛をつく漁師は命がけ.
その漁はすでに
400年以上続いているという.

マッコウクジラ,
マンタ,
マンボウ….
村人はカトリック教徒.

場所は
バリ・デンパサールから
フローレス島・ララントゥカへ
渡航し,
さらにその隣の
レンバタ島へ移動する.

決して争い事や
揉め事を好まない
「和」尊ぶ村人たち.
自然と一体感のある生活

家族や祖先と大事にする.
神聖な漁には,
家族の争い事や
揉め事は
厳禁だそうだ.

クジラの銛打ち漁師を
「ラマファ」と呼び,
そんな彼らは
最も尊敬される存在だ.

銛は鯨の体に
全体重を
かけ勢いつけて打ち込む.
打ち込む瞬間に
身を引いて
自分の衝撃を避ける.
失敗すると大怪我になり
下手をすると命にかかわる.

本作のクライマックス.
マッコウクジラとの格闘.
テナに乗り込む命懸けの撮影隊
カメラワーク撮影と
ドローンによる空撮は見事だ.
加えて,
当たり前の今の生活を
生き方を見直し
キッカケにも
なったようにも思う.

これは凄い.
くじらは死の直前,
その瞬間に目を閉じる.
そして涙する.
仲間がピンチの時には
他の鯨が助けに来る.

食物連鎖や
命をいただくという意味.
実に骨太な
ドキュメンタリー作品だ.

くじらびと(2)

投稿者プロフィール

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天雨 徹
人財育成、技術系社員研修の専門家。東京都市大学特任教授。博士(工学)。修士(経済学)。専門は「電力システムネットワーク論」著者に「IEC 61850を適用した電力ネットワーク- スマートグリッドを支える変電所自動化システム -」がある.ブログは映画感想を中心に書いている。
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