オススメ度:★★★★☆(3.8)
理由:これは,ひょっとして
技術者や科学者の純粋な学び…
その気持ちがわからないと,
厳しいかな.(個人的には4.2)
何のために戦争が始まったか,
生産性を向上,高い経済成長が
豊かになるとすれば,資源のある
なしに関わらず,
より高度な経済成長を求めて
植民地化,支配下に置きたい
気持ちもわかる…
NHKの終戦75年目の
2020年8月15日に
放送されたものが
ようやく今年…劇場で見られる.
史実に基づくフィクションだけに
とても胸が詰まる.
そして…
とても複雑な思い…
その意味はを考えると
2つある.
三浦春馬の逝去が同年7月18日.
放映が終戦日だけに見ている方も
彼の演技を見るにつけ,
とっても辛い.
2つ目はE=mc^2
人道的に良くない考えかも
しれないが,わが国が
先に開発していれば…と
どうしても考えてしまう.
でも恐らく基礎研究は
成果が出るが,
実用化には資本もなく
困難でだったんだろう,
それがとっても悔しいし,
歯痒い.
そんな邪悪な考えとは別に,
あの昭和20年代は
実は平和な時代であれば
核分裂エネルギーにより
人類は無限のエネルギーを
手にする時代到達したのだ.
太陽は核融合.核分裂とは
違いこそあれ,
原子核が融合したり
分裂すれば,
膨大なエネルギーを放つ.
原子物理学を
専攻する学生の日記の残片…
海軍から依頼された原爆開発.
依頼を受けた荒勝教授の研究室
F号研究….
実際に京大では,
通称F研こと核分裂エネルギーを
用いた新型爆弾の開発を進めていた.
テレビドラマ版と映画版…は,
ちょっと異なるらしいが,
史実から本作品が
できたかと思うと,
胸が詰まる.
最先端の学問・原子物理学に
対する憧れ….
それが兵器開発に
転用される現実.
そんな中で
恋憧れたりする青春.
かつて火は人類が寒さや
飢え耐えるのを鑑み
プロメテウス与えたという,
しかしゼウスの予言どおり
戦争の道具として人類は
使うようになる.
他方,イカロスは,
太陽へも近づけるとして
結局は,翼が溶けて
到達しなかった.
当時は陶磁器用うわぐすりに
硝酸ウランを用いて
いたようだ.
柳楽優弥が演ずる
F研の学生をはじめ多くは,
大義ではなく,
おそらく純粋に核分裂した時の
エネルギーについて
「知りたい」「知りたい」
という純粋なものに違いない.
核分裂の連鎖反応,
それに伴う閃光.
まさに素直に受け取れば
それは他者から見れば
狂気の沙汰に見えるのだ.
純粋な科学者を見た母を
演ずる田中裕子.
「それが科学者の見たいものなのか」
というセリフ…
ドスが利いて凄かった,
天然ウランから如何に
核分裂反応をする
ウラン235の取り出すか.
遠心分離器…などなど,
必要性がわかりやすく,
解説されている,
そもそも戦争の理由は,
石油をはじめとする
エネルギー資源を
求めてのことだ.
だとすれば,
作中にあったように,
我々が核分裂を
コントロールすれば,
純国産エネルギーで
資源を求めて
中東へ向かう船舶を
アテにしなくても済むのだ.
資源の貧しい国も潤う
エネルギー.
それが開発されれば,
戦争は無くなるはずだ.
しかし…現実は違った.
それを
兵器にしてしまうところに
問題が生じる.
ウラン235の取り出し
100%にすれば原爆.
5%にすれば原電になる.
今の大義よりも
未来を考えることだ.
国民の豊かさ,
教育の水準.
純粋な魂.
人のために
全力を尽くす.
コロナ禍に
見るに相応しい
作品でした.
三浦春馬さんの
ご冥福を
お祈りいたします.
投稿者プロフィール
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人財育成、技術系社員研修の専門家。東京都市大学特任教授。博士(工学)。修士(経済学)。専門は「電力システムネットワーク論」著者に「IEC 61850を適用した電力ネットワーク- スマートグリッドを支える変電所自動化システム -」がある.ブログは映画感想を中心に書いている。
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