オススメ度:★★★★☆(4.2)
理由:まさかの展開.
これにはすっかり
騙されました.
まさに作品に
はめられました.
これは何も知らずに
観たほうがいい.
これは凄い.
そういうこと
だったんだと…
納得の作品です.
でも,
後から考えてみれば,
観て気づく感のいい人も
居たかもしれません.
そうかと気付くシーンは
いっぱいあったはず.
印象的なのは
特に後半の30分の
意外な展開に
驚きを隠せない.
淡くてホロ苦くて,
そしてそれは
青くて甘酸っぱい.
本作は2011年のフランス映画で,
あの「燃える女の肖像」の
女性監督セリーヌ・シアマが
手掛けた作品だった.
新学期が始まる前の夏休み.
家族で新しい街へ引っ越してきた.
主人公ミカエルは,
とにかく凛々しく喧嘩も強い.
引っ越しして間もなく,
男子たちからも
一目置かれる存在になる.
ジェンダー…
性差を超えた魅力とは
一体何なのか.
異性を意識するのは
いつの頃だっただろうか.
多様な様相を示すジェンダー.
様々なケースについては
ここ数年映画でも
取り上げれてきた.
こうした問題について,
作品を通じて垣間見れるのは
幸せなことだ.そして
そのたびに考えさせられる.
それはちょっぴり
ピュアな気持ちに.
そして涙ぐましい努力なんだ.
ちょっとネタバレになるが,
疑念に思われた時の
その後の仲間からの
辛い審判.
それは残酷な子どもたちの
世界を見る瞬間でもある.
とても厳しい現実の試練だ.
とても生々しく,
そして痛々しい.せつない.
それがまた見る側にとって
共感を生む.
この複雑な感情.
実際に私がそうしたい
訳ではないが,なぜか
主人公がそうしたい気持ちは,
痛々しいほどわかる.
だから心が痛いし共感を生む.
小学生から中学という微妙な時期.
同性と異性の区別が曖昧な時期.
自分でも抑えられない感情.気持ち.
主人公の家族が特にいい.
とても親子関係のよい家庭.
母親のいい意味での厳しさ.
父の優しさ.
生まれてくる子どもが
男の子だと願う父親の気持ち.
その間接的な暗示が
ミカエルを追い詰めたのかな.
それともそういう気持ちが
ミカエルに元々潜在意識の中で
備わって,それが目覚めたのかな.
作品最後で見せたミカエルの
あの微笑み.ミカエルは
これからどうなるんだろうか?
どんな人生を歩んでいくのか?
とても考えさせられる.
それにしても脇役ではある
妹のジャンヌがとっても
おちゃめで可愛い過ぎる.
ミカエルが大好きで,
その素直な姿に
ほっこりする.
映画らしい作品に
また出会えた.
観られて良かった.
投稿者プロフィール
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人財育成、技術系社員研修の専門家。東京都市大学特任教授。博士(工学)。修士(経済学)。専門は「電力システムネットワーク論」著者に「IEC 61850を適用した電力ネットワーク- スマートグリッドを支える変電所自動化システム -」がある.ブログは映画感想を中心に書いている。
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