本作を通じて保護司の仕事を知る「前科者」

前科者

オススメ度:★★★★☆(4.0)
理由:有村架純,森田剛,
役者として大きくなった二人.
本作は笑えるところも多分にあり,
しかし,その本流には,
人の心と魂,心の叫びと救い.
考えさせられます.魂が震えます.

保護司は非常勤の国家公務員.
ボランティア精神で報酬が
一切ないという.
いわゆる民間のボランティアだ.
佳代ちゃんは貧乏なのに
時間を「稼ぐ」に使うことなく
犯罪者の更生に使うとは,
一体どういう理由なのか.

そんな時間が拘束され,
しかも赤の他人の世話….
まさに無償の愛だ.

なぜ佳代ちゃんがそこまでして
保護司になったのか.
その理由が奥深い.

劇場版であるため,その辺の理由も
簡潔に明らかにされていく.

しかし本作をより深く感じるには,
TVドラマ全6話を見た方が
よりもっと深まるだろう.

原作は香川まさひと,
漫画ビッグコミックオリジナル.
WOWOWでTVドラマ
『前科者 -新米保護司・阿川佳代-』の
タイトルで全6話放映され,
Amazon Prime Videoでも見られる.

有村架純演ずる保護司の阿川佳代が
「前科者」の更生・社会復帰に向けて
奮闘する姿を描いている.
続編が映画化されると聴き
楽しみにしていました.
流石に劇場版なので一話が長い.

TVも泣けたけど,
映画も泣けました.
ビックコミックは,
そうした共感をするような
作品が一杯詰まっています.
毎回演じられる作品一話,
一話が保護司である佳代ちゃんの
不器用さと失敗の数々.
それでも愚直に生きている姿が,
とても共感を生む.
社会への怒り,
理不尽への怒り…

更生とは一体何なのか.
幅広く捉えれば教育とは
何かにも近いということかも
しれない.

有村架純が三枚目を演じているのが
堪らなく嬉しく,そして切ない.
複雑な気持ちだ.
それでも必死に生きている.

「過去と他人は変えられない」
しかし,他人は,佳代さんにような
人との出会いで変わってくる
ものかもしれない.
今,佳代さんの家に行き来する
みどりさんがそうだ.
他人は人の出会いによって,
変わってくる.
「過度の介入」が佳代さんの
欠点でもあり良さでもある.
そして,コンプレックス,
未熟も利点かもしれない.

前科者は如何にして,そして
どのようにして社会復帰できるか.
それは…
そんなに簡単なことではなさそうだ.

彼女の家庭事情も複雑なのだ.

劇場版の本作品は時間的な
制約もあり,ストーリーの展開は,
少し拙速なところもあるが,
今回の話題も素直に共感できる.

是非ともシリーズ化してほしい.

投稿者プロフィール

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天雨 徹
人財育成、技術系社員研修の専門家。東京都市大学特任教授。博士(工学)。修士(経済学)。専門は「電力システムネットワーク論」著者に「IEC 61850を適用した電力ネットワーク- スマートグリッドを支える変電所自動化システム -」がある.ブログは映画感想を中心に書いている。
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