オススメ度:★★★☆☆(3.4)
理由:力作.ただ3時間近くもある作品.
ある意味,忍耐がいる.覚悟がいる.
ケストナーが好きな人には
ピッタリかもしれない.
激動の中を生き抜くのは大変だ.
でも生きていくことにワクワクがないと
人は生きるのが辛いと思う.
トム・シリングのファビアンは,
はまり役だったかもしれない.
彼の気持ちはわかる.
後先を考えずに感じたままに
行動するファビアン.
彼は不器用な中にあって,
なんとも言えない,その気持ちが
鑑賞している側に共感または反感を生む.
混沌としたベルリン.
1930年代の世界大恐慌の嵐の中,
ドイツは戦争賠償金でハイパー・インフレ
の真っ只中.それは確かに過去のもの
ではあるが,今という世界にも
明日訪れるかもしれないという
不安すら感じる.
そんな中にいて,躍動感溢れる映像は
なんなんだろう.
その世界でしか,生きていくしかない
若者たち.祖国とは何か.
祖国を守るとはどういう意味か.
祖国とは,まるで生きもののようだ.
一体,どう振る舞えばいいのか.
「考えるな,感じろ」
魂がそれをして,
嬉しいか嬉しくないかで
判断するしかないのか.
周囲や環境に振り回されない.
そんな考えが必要なのかな.
気持ちの持ちようで
人の心は変わる.
人に左右されて翻弄する
その気持ちを
自分基準で考え抜く,
いや感じ取る脳が,
まさに今,試されている.
理不尽な
世の中であればあるほど,
そうした考えが
求められている
のかもしれない.
3時間近くの作品.
原作はナチス政権下の
禁書でケストナーの小説
「ファビアン あるモラリストの物語」
1931年のベルリン.ナチスの台頭.
暗黒の時代が忍び寄る時代.
作家志望の青年ファビアン.
大学教授に匹敵する
賢人であるがゆえに失業.
そして恋と友情.
それぞれの「夢」
自分に素直だからこそ
上手く泳げずに溺れてしまうのか.
祖国ドイツは混沌としている.
止められない異常な社会.
気付いたときにはもう遅く,
その流れに溺れていくしか無い.
ファビアンのように
泳げない人にとっては,
一体どうすればいいのか.
恋愛には紆余曲折.
すれ違いも多い.
誤解を招くこともあり,
互いに好きだからこそ
離れていくこともあろう.
一方,裕福な家庭で育ちながらも,
奈落の底に堕ちていく友.
気づけはもう,30歳を過ぎている.
世間では青年とは
決して呼べる年齢では
ないかもしれない.
息苦しい世界でどう生きて
行くのが良いのか.
難しい環境だからこそ,
試されているのかもしれない.
命取りになる行動.
それは紙一重なんだ.
投稿者プロフィール
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人財育成、技術系社員研修の専門家。東京都市大学特任教授。博士(工学)。修士(経済学)。専門は「電力システムネットワーク論」著者に「IEC 61850を適用した電力ネットワーク- スマートグリッドを支える変電所自動化システム -」がある.ブログは映画感想を中心に書いている。
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