松浦だるま『イブニング』に掲載された漫画の映画化。醜い顔を持った累(かさね)が不思議な口紅を使って顔をすり替ていく。醜い顔の為、暗いイメージの彼女。そんな彼女には人並み外れた演技力がある。美しい他人の顔を奪いながら舞台女優として生きていく累。
そもそも口紅で顔がすり替わるという設定自体、「有りえん」と思って最初は引いてしまいますが、以外にも映画のテンポに惹かれてしまいます。
漫画はもっとストーリーが複雑なようだが、映画ではわずか2時間の作品なので、脚本によりコンパクトにまとめられている。
人にはダークとライトの双方の心がある。いけないことと知っていてもダークに染まることもある。アナキン・スカイウォーカーと同じように。心の葛藤が見事に表現された作品で、十分楽しめた映画だった。
人はそうした面が潜在的にあるから、それがマグマのように一旦吹き出すと、自制が効かずに、止まることができない動物かも知れません。
土屋太鳳が演じる丹沢 ニナの顔を盗んだ累の舞台劇が凄い。
「サロメ」オスカー・ワイルド作の戯曲。この戯曲と丹沢ニナと累の関係が重なっていく。
なかなか後味の悪い、それでいて面白い映画でした。
投稿者プロフィール
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人財育成、技術系社員研修の専門家。東京都市大学特任教授。博士(工学)。修士(経済学)。専門は「電力システムネットワーク論」著者に「IEC 61850を適用した電力ネットワーク- スマートグリッドを支える変電所自動化システム -」がある.ブログは映画感想を中心に書いている。
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