川口俊和のオムニバス形式の小説「コーヒーが冷めないうちに」の映画化。
その喫茶店では「ある”特定席”に座ると自分の望む時間にタイムトリップできる」という都市伝説。
この作品では、いくら過去にタイムトリップしても、”Back to the Future”のように過去に戻って人生をやり直すことは、「決してできない」
細かなルールがいくつもありますが、中でも、
「過去に戻って、どんな努力をしても、現実は変わらない」
これが魅力でもあります。
そして、「過去に戻れるのは、コーヒーをカップに注いでから、そのコーヒーが冷めてしまうまでの間だけ」
過去には戻れるが、起きた事象は全く変わらない。また、過去に残れる時間は僅かな時間だけ。それでも人は過去に戻ってみたい。
あの時確認したかったこと。あの時言いたかった一言。あの時することをしなかったために後悔したこと。兎に角会ってみたい…そんな思い。わかります。
全く起きてしまった事象が変わらなくても、自分の心の持ち方は変わるかも知れません。
後悔や失敗、心に残った深い傷。過去に縛られた自分。その出来事に目を背けずに向き合うことの大切さ。
「過去と他人は変えられない」でも、「自分と未来は変えられる」
過去の自分に向き合って、結果をフィードバックする。次なるステージに繋げるために。
結果として何ら事象が変化しなくても、たとえ原因が消し去らなくても、感じ方は人それぞれ。その事象をどのように感じ取るかで、自分の気持ちも変化するものだと思います。
人との関わりだったり、自分の気持ちだったり、不幸にも幸せにもなれる。
所詮、自分の気分だから。その事象をどう捉えて感じるのか。
やはりオムニバスの中でも認知症役の薬師丸ひろ子と、その夫の松重豊のエピソードが泣ける。
一見ネガティブな事象に囚われているつもりでも、見方を変えれば、ポジティブにも見える。そんな映画に出会いました。
投稿者プロフィール

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人財育成、技術系社員研修の専門家。名古屋工業大学客員准教授。博士(工学)。修士(経済学)。専門は「電力システムネットワーク論」著者に「IEC 61850を適用した電力ネットワーク- スマートグリッドを支える変電所自動化システム -」がある.ブログは映画感想を中心に書いている。
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