「日日是好日」観ました

日日是好日森下典子のエッセイ『日日是好日-「お茶」が教えてくれた15のしあわせ-』の映画化です。
黒木華演じる著者自身、典子がいい。従姉役を演じる多部ちゃんもいい味を出している。中でも一番ダントツは、何と言っても”武田のおばさん”こと茶道の先生役を演じる樹木希林。公開と同時に観たかった。見ることができて本当に良かった。
日日本人は生きることに不器用なのかも知れません。不器用でも何か軸となるのもの…。それがこの場合は「茶道」だったかも知れません。この作品を通じて、「ああ、ある、ある…その気持ち、わかる、わかる…」そんな作品でした。

森下典子さん著者自身の体験がそのまんまの映画だけに深みがある。
森下さんが「茶道」というのを母親の勧めで大学生の時に始めた。習い始めのエピソード。お茶の作法が鮮やか。理屈でない世界。そこは理論ではない。「何でそうなっているの?」「それは聞かれても困るのよ?」と応じる。そうなんだよね。理由なんかない世界もある。いつも理詰めの世界に見よ寄せる私にはとても新鮮に感じた。

私も、四季折々の楽しみ方というのを忘れかけていたことに気づかされた。
「二十四節気」の大切さ。

思うようにならない人生の中で、どのように生きていくのか?どのように生きていけばいいのか?生きるとはどういうことなのかな?笑えるときもあるだろうし、辛いこともあろう。楽しいこと。辛いこと。全部含めて人生なのだ。

そうした毎日の生活の中で、土曜に通ってい「茶道」茶道の意味は何だろうか?
「お茶」は、目で愛でる。耳で声を聴く。鼻で香りを味わう。舌で味覚を愉しむ。肌で体感する。まさに五感で季節を味わうということ。そして「生きているという今」その毎日の何気ない繰り返そこそが、本当は貴重で、有り難いことで喜びでもあるということ。『今を生きる』ということ。

彼女は、大学を卒業して就職もつまずき、不安な毎日を送りながら、自分は何者なのか?付き合っている彼の裏切り。そして、父親の死。

「生きているだけで大儲け」
寒い雪も、鬱陶しいといわれる雨も、五感で味わうと歓び に変わる。

あれもやろう、これもやろう…そう思いながら、気づけば走馬灯のごとく過ぎていく大学生活。自分は何者で、本当は何がやりたいのか?ズルズルと時間だけが過ぎていく。

虚しさ…、虚構。そんな空っぽな気持ちにも共感してしまった。

泣けた。

1956年のアカデミー外国語映画賞を受賞したフェデリコ・フェリーニ監督の映画「道」
そして、「一期一会、余情残心」

茶道における残心とは、千利休の道歌に表れている。

「何にても 置き付けかへる 手離れは 恋しき人に わかるると知れ」
(茶道具から手を離す時は、恋しい人と別れる時のような余韻を持たせよ)

帰っていく客が見えなくなるまで、いや、それ以上にその客が見えなくても、ずっと見送る。その後、おもてなしをした方は一人静かに茶室に戻って茶をたてて、今日と同じ出会いは二度と起こらない(一期一会)ことを噛みしめる。この作法こそが、名残惜しさの表現であり、余情残心と。

相撲、柔道、剣道、弓道などの武道はじめ日本舞踊も「残心」がある。最後まで気を抜かず、手先足先まで神経を行渡らせ区切りの「お仕舞い」まで踊るということ。

別に特別な絶景でもなくても、普段の生活の中でも美しい背景は、こんなに沢山あるのだと、今更ながら(笑)、わかりました。

好日樹木希林さん日本を見直したくなりました。間もなく深まりゆく秋の季節。京都に行きたくなりました。

ありがとう。樹木希林さん。ご冥福をお祈りいたします。

投稿者プロフィール

天雨 徹
天雨 徹
人財育成、技術系社員研修の専門家。名古屋工業大学客員准教授。博士(工学)。修士(経済学)。専門は「電力システムネットワーク論」
ブログでは日々の気づきを中心に書いている。
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