「スマホを落としただけなのに」観ました

スマホ志駕晃著「スマホを落としただけなのに」ミステリー小説の映画化だけに、内容が満載。
ソーシャル・ネットワーキング・サービス(social networking service, SNS)上での問題点、コンピューターウィルス感染、なりすまし、ネット犯罪、クレジット詐欺、連続殺人事件、母性へのコンプレックス等など。さまざまな問題を満載しています。
稲葉麻美演じる北川景子。こんな彼女がいたら本当にいいな。その彼女には、彼女自身の秘密とか、彼女の友人の自殺の真相とか、まさに彼女にも秘密がてんこ盛り。
そして、彼女の彼氏。その彼氏はちょっと、おっちょこちょい。そこが憎めないところでもある。
この作品は、彼氏がついうっかり、スマホをタクシーに置き忘れることからはじまる。
小説と映画とは、設定が一部脚色されてはいるものの、なかなか見ごたえのある映画であった。

確かにもうスマホは、自分の身体の一部であり、良い思い出も、悪い思い出も、または秘め事も、何もかもが沢山詰め込まれている。まさに自分自身の分身になっているといっても良い。思い出の画像、大事な文書、名刺、お薬手帳、家計簿など、さまざまなアプリ。そんなスマホを落として、もしもその中身が抜き出されたとしたら…。コピーが大量に出回ったとしたら…。そう考えると少し怖いものを感じる。私もクレジットカードの情報をスマホから入力した覚えもある。

そしてSNSでのトラブルも多いと聞く。知らない人からの友達申請。IDの乗っ取り。チャットのやりとりでは、感情が伝わりにくく、ちょっとした誤解から感情的になり「炎上」することもあろう。
友達の友達…、直接関わりが無くても、共通の友達になってしまう気軽さが時には波乱を起こすこともある。そんな多機能の便利であはあるがそれが凶器にもなる。そうしたスマホに警笛をならすのがこの作品です。

パスワードも、ついつい誕生日や電話番号など、誰でも見破られるように設定してみたりと、耳が痛い話もあった。

パソコンオタクが犯罪をする。スマホの悪用、サイバーセキュリティーへの攻撃、アカウントの乗っ取り、一部の録音から合成音声を作るという…これも怖い。音声データをコピーすれば、その人になりすまして、親に留守録を入れることも可能となる。

AIやIoTの進化は、人々を便利にする半面、悪意で使えばそうしたことにも利用されてしまう。そんなことを可能にする世の中だからこそ、犯罪に巻き込まれる危険性は少なからず誰にもあろう。いつ事件に巻き込まれるのか、もはや他人事ではなくなっている。

ネットオタクの異常な事件。

母性愛。幼い時のトラウマが異常者を作っていく。そんな心理的な一面も垣間見られる。異常な行動というものは、いつどこで、発火するのかわかりません。人はそれぞれ何がしらトラウマがあるのかも知れません。それが何なのか。
作品自体は、あまりの展開の早さに、共感はあるものの、「凄く良かった…」といった内容では正直無かった。でも、こうした犯罪は可能なんだ!と教えてもらうことが多かった作品ではありました。後味スッキリという展開が、もう少しドロドロとした人間模様を描いた作品が私は好きです。
でも、やっぱり北川景子はいいなぁ。★★★☆☆

投稿者プロフィール

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天雨 徹
人財育成、技術系社員研修の専門家。東京都市大学特任教授。博士(工学)。修士(経済学)。専門は「電力システムネットワーク論」著者に「IEC 61850を適用した電力ネットワーク- スマートグリッドを支える変電所自動化システム -」がある.ブログは映画感想を中心に書いている。
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