「僕たちは希望という名の列車に乗った」観ました

映画(1)

ベルリンの壁ができる前の東ドイツから西ドイツに亡命した高校生の実話を元にした作品です。東ドイツの恐らく優秀な有名高校の生徒なのだろう。そんな党のエリート養成高校なんだろう。そのような高校で、起きるほんのちょっとしたこと。最初はそんなに大したことないと思いつつ、それが大事になってしまう恐ろしさ。モノの考え方、イデオロギーや政治における触れてはいけない事項。そうしたモノについつい触れてしまうと大変なことになる。当時ソ連の影響下にあった東ドイツであれば当然かもしれないが、社会主義国家への反逆行為として観られてしまうのだ。それが現実の世界にあるのだ。最近も温泉探査でスパイ罪で起訴された一もいるので、まんざら遠い話でもない。

家族を捨てて、故郷を捨てて、西側に亡命するということ。相当の勇気というか二度と会えない家族のこと。そう思うと胸が痛くなる。それが高校生なのだ。ちょっとした西ベルリンで観たニュース映画「ハンガリーの動乱」で亡くなった人たちに黙祷をしたばかりに…。大変なことになっていく。18歳の時に、凄い恐怖の中で緊張と震えの中で、どう振る舞ったのか。泣ける。その辛さや苦しさ。執拗に攻める当局の尋問。仲間を裏切らせるように迫ってくる。悪者を一人決めれば収まるようなやり方。首謀者を特定したくなる当局。

仲間を本当に裏切るのか。「囚人のジレンマ」という心理ゲームにも似ている。

親もそれぞれの人生を選択した。苦しい究極の選択だったのかも知れない。後々考えてみると、自身に恥じない人生を送るよりも、ひょっとしたら、自分の子どもに恥じないような生き方をする方がカッコいいのかも知れない。信念を貫くには失うものがとても多すぎて重すぎる。それは相当の覚悟が必要になる。まさにあの歳で人生を左右する選択をわずか一瞬の尋問の間で迫られるのだ。

自由とは一体なんだろう。自由には責任が伴い、結局は貧富の差が生まれる。

エンドロールの最後に実際のクラスメートらしき中高年の仲間の画像。彼ら彼女らのその後の人生はどうだったのか?

東西冷戦時代。NHKスペシャルでも時々放映されたりする東西ドイツ。ちょと一瞬誤れば、一生監獄へ。最近政治家では失言や行動が稚拙で後から辞任したりすうケースもある。

ちょっとしたミスがミスで済まなくなってくるこの恐怖。

親子、恋人、兄弟、クラスメート。大切なものって一体なんなんだろうか。

あの暗黒な時代に生きていないくて、本当に良かった。★★★☆☆

投稿者プロフィール

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天雨 徹
人財育成、技術系社員研修の専門家。東京都市大学特任教授。博士(工学)。修士(経済学)。専門は「電力システムネットワーク論」著者に「IEC 61850を適用した電力ネットワーク- スマートグリッドを支える変電所自動化システム -」がある.ブログは映画感想を中心に書いている。
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