「長いお別れ」観ました

長いお別れ

この作品は中島京子著「長いお別れ」を映画化下したものです。認知症を患った元校長先生の昇平を演ずる山崎努。日に日に記憶が消えていく。厳格だった父の存在。それを支える妻の曜子を演ずるのが同じ名古屋出身の松原智恵子、もう70代なんだなぁ。老いてもとても、愛らしくそれでいて厳しい表現が刺さります。そして娘2人、長女の芙美を演ずるのが竹内結子、そして次女を蒼井優が演じている。

豪華なキャスト、というか、ほぼこの4人家族で話が展開するのだが、なぜか身近に感じるのは、恐らく著者の中島京子の体験に基づいているからだろう。アルツハイマーの父が、少しずつ記憶が消えていく、。思い出が徐々に消えていく。作品自体はフィクションであるものの、著者の彼女自身が、2004年から2013年に亡くなるまでの約10年余りの体験があったから描けた作品だと思う。調べてみると、中島京子の父は、長野の名門松本高等学校を経てから東京大学を卒業して中大教授となった人である。そして奥さんはフランス文学者の中島公子で、長女はエッセイストの中島さおり。だからこそ、こうしたリアリティな作品が創れるのだろうと思う。

作品の内容に目を向けてみよう。お父さんの昇平をそれはそれは通常あり得ないほど献身的に尽くす妻の曜子。そしてそれぞれの娘たち。それぞれのステージで悩みはあるものだ。人生とはこんなにも次々と悩みを創造していくものなのか。そういう思いは尽きないものなのかも知れませんね。

海外に住む長女、30代で独身の次女、そりゃ、歳を重ねれれば、それなりに問題を抱えているはずである。そうした問題を抱えながらも、認知症の父と接していく。そして、お母さんが凄い。自分のことよりも、娘や夫のことを考える、そんなお母さんなんだ。

こんな作品が出来上がるのは何故なんだろうか。そう考えるとやっぱり監督が中野量太だからかも知れませんね。偶然にも今年、機内で観た宮沢りえ主演の映画『湯を沸かすほどの熱い愛』を観ました。この作品も心に刺さった作品です。これを手がけた人が中野量太なのだ。納得感あると思う。今回は小説から実写の映画へと作品に落とし込むということ。そんな重大なことを一体どういったことを考えて創造していくのだろうか。そう考えると、世の中には底知れない人がすごく沢山いるんだろうなぁ~と思う。

実は私の父もアルツハイマーの認知症だった。だからこの作品を観るにつけて、やおっぱり他人ごとではなくて、身近に感じた。アルツハイマーなってしまった昇平、その素朴な何も考えていないその姿が妙に…何か共感をえてしまう。生きるうえで、何が本当に必要なものなのか?非常に考えさせられる作品には違いない。

認知症…とは、発症してからが長時間に及び、徐々に脳が萎縮していく。記憶も翔んでいく。残された家族にとって、生から死へとゆっくりと、そして、ジワジワと近づいくる。

両親はじめ大事な人との別れ、そうした「別れの時間」がとても貴重ではないか?と、私は、いつも思っています。ありがとう映画、★★★★☆

投稿者プロフィール

天雨 徹
天雨 徹
人財育成、技術系社員研修の専門家。名古屋工業大学客員准教授。博士(工学)。修士(経済学)。専門は「電力システムネットワーク論」
ブログでは日々の気づきを中心に書いている。
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