八丈島には今年5月に二泊三日で行った。その際には、あちこちで、この映画のポスターを観た。「これは何だろう」と、八丈島から帰ってきてからとても興味があったので調べてみた。すると、どうやらその映画は、人気の『ttkkの嫌がらせのためだけのお弁当ブログ』が元だということだった。それを元にまとめたエッセイが出版され、それが映画化されたのだ。
やはり実話を元にしているだけに面白い、その母親の行動が、純粋でストレート、子どもっぽく笑える、それでいて気持ちがわかるだけに実に泣けるのだ。胸に刺さるのが心地よいのだ。
最初は、ちょっとこの作品鑑賞は選択ミスだったかな?って思った。そうした展開だったところもあった。しかし、いえいえ、とんでもありません。家族の繋がりというのはそんなに単純ではない。互いに取っ組み合いの喧嘩もすることもあろう。時には抱きしめたいぐらいの愛情を感じることもある。それが少ない登場人物で本当によく描けている。
さて著者ですが、まずがその娘が高校に入ってから反抗期になった。確かに「娘の無視する態度や返事をしない」といったあの表情。そうした態度にカチン!とくる母親。それは子どもぽくて、よくわかる。そこで母の対抗措置が面白い。
「3年間、毎日キャラ弁を持たせる」という行動。「思いつき」でできるものはない。「うざい」としか言わない娘に対して、キャラ弁当を通じて娘へメッセージを送り続けるのだ。「まじか」…とつぶやく娘。
一方母は、口では「嫌がらせ」といいながら、作りながら楽しんでいる姿がいい。そして、キャラ弁からメッセージ性が強くなった弁当も面白い。そして弁当の蓋を開ける娘の顔をお見浮かべながらニヤニヤしてしまう母親が面白い。思わず「わかる、わかる」って言いたくなる。
著者はあの二人の子どもがまだ幼い頃に交通事故で夫を失ったのだ。だからこそ必死に頑張っている姿を見せるしか無いとして、仕事を頑張る若手。それがいい。ブログではキャラ弁の画像、そして、弁当に込めた母の思いやその娘の反応、それに対する母のコメントが面白いから受けるのだろう。
母が娘に対するコメントも素敵だ。「すべてが思い通りになると思うな」「無駄と思うことも本気でやれ!」などなど。
毎朝続けるのは大変だと思う。それも出来合いの冷凍の「チ~ン」ではなくて、手作りというのは凄いことだと思う。
母娘役、持丸かおりを演じる篠原涼子とその娘、双葉役の芳根京子の演技、本当に良かった。★★★★☆
投稿者プロフィール
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人財育成、技術系社員研修の専門家。東京都市大学特任教授。博士(工学)。修士(経済学)。専門は「電力システムネットワーク論」著者に「IEC 61850を適用した電力ネットワーク- スマートグリッドを支える変電所自動化システム -」がある.ブログは映画感想を中心に書いている。
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