「ゴールデン・リバー」観ました

映画ポスター

ゴールドラッシュに沸くアメリカ西部開拓。1850年代のオレゴン州である。そこに殺し屋のプロの兄弟がいた。性格は正反対の兄弟。兄の方は将来は殺し屋家業から足を洗って慎ましやかにお店を経営したいと思っている。至って普通を夢見る兄。一方、徹底的に殺し屋家業のプロとして極め、裏世界でのトップを目指そうとする弟。原題は”The Sisters Brothers”。確かに川に流れる砂金を巡る私欲からすれば、邦題の「ゴールデン・リバー」でも良いかも知れません。

しかし、原題の「シスターズ兄弟」の方が、本質をついていると思う。兄弟愛が判り易いように思う。なぜなら、兄弟を中心とした人間愛に他ならないからだ。兄貴はやっぱりかっこいい。一見どんくさいように見せながら実に愛がある。

この兄弟は最強と呼ばれる殺し屋「シスターズ兄弟」と名乗っている。提督からの雇われている殺し屋の二人は、科学者の命を狙う。川に眠る砂金を合理的に採取できる画期的な手法を考案した科学者がいる。その科学者から化学式を拷問して聞き取り、その後殺害せよとの命令を受けたのだ。
他方、本来捕まえる目的だった殺し屋の兄弟の仲間が、その科学者の考えに共感し、はじめは密偵の一員だったが、結局は提督を裏切った。そして殺し屋兄弟もまた、提督を裏切り科学者と手を組むこととなった。
兄弟には互いに想いがある。仲の良い兄弟であるが、彼らには幼い頃の嫌な思い出、そし父への、また弟へのトラウマがあった。加えて一緒になった4人には、憧憬、疑心、感情…4人が互いに複雑な思惑も入り乱れて最後はとんでもない事件へと発展する。一見あり得ないような行動に出た弟。その気持ちがとても理解できる。人は信じられない裕福を味わうと本当は幸福ではないのにもかかわらず、幸福と勘違いすることで、人を狂気に変容させてしまう。とてもリアルである。絶対に組むはずもない4人。最後には…。
久しぶりの西部劇。本作品は細かな描写もよく描かれている。この時代背景。当時の洋式建物の建設法とか、売春宿とか、酒場の雰囲気とか…。あるいは、タバコは葉巻ではなくて、紙巻きタバコだったり、粉歯ブラシで歯を磨くシーンなど面白い。当時はワイヤブラシのようなものだったんですね。
あのはじめとエンドロールの龍のような紋章はなにを意味していたのだろう。

一見、成功に見え、巨額の富を得て、めでたしめでたし…とならずに、奈落の底へと落ちていく。極悪人には極悪人としての生き方があるような気がします。★★★☆☆

投稿者プロフィール

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天雨 徹
人財育成、技術系社員研修の専門家。東京都市大学特任教授。博士(工学)。修士(経済学)。専門は「電力システムネットワーク論」著者に「IEC 61850を適用した電力ネットワーク- スマートグリッドを支える変電所自動化システム -」がある.ブログは映画感想を中心に書いている。
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