「アルキメデスの大戦」観ました

アルキメデスの大戦

あの名作「ドラゴン桜」の三田紀房が「ヤングマガジン」(講談社)に連載した作品がこの「アルキメデスの大戦」。16巻からなるこれまた壮大な作品です。これを僅か2時間足らずで映画化にするのはちょっと無理があるように思えますが、話の一部を切り取って作品化。エンタメとして見る作品としては良かったと思います。一部だけ切り取っただけでこんなに凄いんだ。16巻を一気に読み切るともっと凄いことになるような、そんな予感がします。読みたくなりました。

さて時代は昭和8年。1933年。米国を相手に戦争を仕掛けるかどうかの時代。国力が10倍以上…。あまりに無謀。太平洋洋戦争勃発直前の海軍。そんな中にあって、劣化した戦艦「金剛」に変わる造船計画が持ち上がる。そこで、2つに意見が別れた。一つは日露戦争の勝利以来の大戦艦主義を唱える嶋田繁太郎。そしてもう一つは、今後は戦闘機と空母の時代と唱える空母建造を唱える山本五十六。大戦艦なのに、コストも空母より安価だと言う。
出力も総重量も上回る大戦艦が、なぜ空母より少ないコストでできるのか。できるわけがない!と主張する山本。見積もり計算の真実を突き詰めて一発逆転を狙う。そのために数学の天才を部下にした山本。この数学の天才が主役の帝大出身の櫂直である。
次回の決定会議が開催される2週間で大戦艦の積算計算ができるかどうか。そんなストーリー。
国民が崇拝するような、そんな大戦艦を造ってしまったら、日本は戦争へ一直線に進むことになり、間違いなく敗戦となる。なんとしても、そんな大戦艦を作らせない。「数学が、この国を救うのか」そこに立ちはだかるのが、「機密情報」とされ、閲覧すら許されないとする「軍機」たるものの存在だ。これは軍事機密のことである。設計図もなければ、見積品目すら描くことだってできない。何も見せてもらえない、加えて、何かしようとすれば、反対派に妨害や嫌がらせを受ける。
そんな極悪の環境の中で、諦めずに成し遂げようとする姿勢。それがいい。ドラゴン桜に通ずるものを感じます。そして起承転結。残り30分のクライマック一転するあたりも映画作品として面白い。
ただ、戦争という舞台で、なんとなく、しっくりこない感覚。戦争を避ける方法はないものか。歴史的な事実を模倣しながらフィクションを構成する著者や脚本家はやっぱり凄い。人物像も本物とは随分違うんだろう。天才数学者の櫂直を演じる菅田将暉と、その部下の田中正二郎役の柄本佑のコンビが良かった。★★★☆☆

投稿者プロフィール

天雨 徹
天雨 徹
人財育成、技術系社員研修の専門家。名古屋工業大学客員准教授。博士(工学)。修士(経済学)。専門は「電力システムネットワーク論」
ブログでは日々の気づきを中心に書いている。
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