戦争スペクタクル大河巨編全三部作が8月3週連続名演小劇場で上映されます。「戦争と人間」第一部 運命の序曲、第二部 愛と悲しみの山河、第三部 完結篇の全三部作。この作品は五味川純平の原作「戦争と人間」の映画化です。そのうち第1部を観ました。1970年の作品です。ちなみに2部は71年、3部は73年です。ちょうど日活が斜陽になっていく時代です。大河巨編だけに上映時間が半端なく長い。1部は197分、2部は179分、3部は187分…。全作あわせて9時間23分。一部の出演者は芦田伸介、浅丘ルリ子、高橋英樹、加藤剛、石原裕次郎、三國連太郎…豪華キャストです。
(五味川純平の作品に惚れました。いっそ『人間の條件』も上映してくれないかなぁ。)
つい最近、先々月の6月に南京大虐殺記念館に行ったのも偶然だったんだろうか?日中戦争が盧溝橋事件から端を発することは知っていましたが、もっと詳細に知りたいと痛感しました。そうしていたところ、こんな偶然に巡り合うとは。たまたま、もらったチラシでこの上映を知ったんです。まさに「偶然も必然」とは、このことかも知れません。本当に良い機会に恵まれたんだと思います。
この作品の良いところは、さまざまな人の立場から日中戦争から太平洋戦争に至る経緯が非常に丁寧に描かれている点です。
物語は、1928年(昭和3年)の張作霖爆殺事件前夜から1939年(昭14年)のノモンハン事件までを背景に、資本家、労働者、男女、少年少女、日本人、中国人、朝鮮人などなど、色々な視点からニュートラルな立場で、人間としての生きた過程あるは死に方までを描いた作品でもあります。
なぜなら、著者の五味川純平自身が体験したことが壮絶だったんでしょう。彼は95年に79歳で亡くなっておりますが、旧満州・大連生まれで、大学卒業後に、満州の製鋼所に就職した後、終戦の2年前に召集されてソ連軍部隊の攻撃を受け部隊はほぼ全滅、生存者はご本人以下数名だったらしい。その体験から55年に発表した「人間の條件」は1300万部のミリオンセラーとなり映画化もされています。そして「戦争と人間」も映画化されました。
この作品を観るには、基本を抑えておく必要性を感じました。背景です。架空の新興財閥の五代一族。その一族を中心に、満州を舞台として展開されている点ですかね。
そしてなぜ満州なのか。
わが国が日露戦争の勝利から、中国での利権獲得競争に走る西欧列強の中に、日本も参加して列強の仲間入りとなったこと。その利権を自衛する目的で関東軍が存在すること。
最初の発端は、北京を拠点していた張作霖が、蒋介石の北伐より満州へ敗走。そして「柳条溝事件」へと流れていく。1932年には戦火は上海にも広がり、上海事変が勃発した。ここまでが第一部だった。
PS:往年の浅丘ルリ子、栗原小巻、岸田今日子、松原智恵子、みんな綺麗です。
★★★★★(歴史を知る上で)
投稿者プロフィール
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人財育成、技術系社員研修の専門家。東京都市大学特任教授。博士(工学)。修士(経済学)。専門は「電力システムネットワーク論」著者に「IEC 61850を適用した電力ネットワーク- スマートグリッドを支える変電所自動化システム -」がある.ブログは映画感想を中心に書いている。
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