ドラッカーもびっくり「引っ越し大名!」イノベーションはこうして起こすんだ

引っ越し大名

この作品は、実在した引っ越し大名の国替えを藩という一企業体と見立て、姫路から大分までの約500kmという現代版一大難関プロジェクトを現在の視点に落とし込んで、武士に荷工人を掛け持ちさせるとか、リストラで解雇した侍は一時的には百姓になってもらう。
いつになるかわからない次回の国替の際に加増となれば再び家臣として取り立てる。
という本当にあるかない約束をしたり、あるいは資金調達に際して、商人の活動を調査するなど、現代版リサーチから経営コンサルのような仕事を作品の中で具現化していくのだ。
お金がない、人も減らさねばならない。不平不満を抑える。
その困難な課題に加えて当時は身分制度、差別の問題。そんな中にあって、このプロジェクトを成功に結びつけるには、当時の価値観を根底からひっくり返すイノベーションが必要なのだ。
それは1人ではなし得ない。様々な脇役の協力があってからこそなんだ。

おすすめ度:★★★☆☆

理由:勧善懲悪でスッキリ気持ちがいい。敵を倒すのにそう簡単に倒せるのかな?
ってとこをもあろうが、社会制度や身分制度の中、あらゆる八方塞がりの状態で、どのように対応したら良いのか?そんなことを教えてくれる。
一生懸命とはどういうことか、謙虚に学ぶ姿勢とか人間性を学ぶにはうってつけの作品だと思います。

お国替えとは、そういうことだったのか。その御下知に意見をいうことを許されない。

上様に反旗を翻すことなど到底できない。だから受け入れるしかないのだ。
そんな時代である。

参勤交代よりも過酷な国替をなんと生涯に7回も経験した大名があった。
本作品は実在の大名をモデルにしている。まさに引越し大名なのだ。
越前松平家の松平直矩である。松平直矩について、調べてみました。
越前大野藩の長男として生まれたが、父の直基も山形藩から播磨姫路藩に国替を命じられ、その封地に赴く途中で亡くなったのだ。
その長男の松平直矩自身は、わずか5歳で家督相続したものの、幼少ということで、西国の要である姫路藩主には不適当として、翌年越後村上藩に国替となった。
成人後にはようやく再び姫路藩主となるも、親族で起きた御家騒動でその処理を巡っての不手際で減俸のうえ、豊後日田藩に国替となった。
その後。出羽山形藩、さらに陸奥白河藩へ移されのた。


本作品は土橋章宏著、小説「引っ越し大名三千里」の映画化ではあるが、著者本人が本作品の脚本を担当したので、生き生きと描かれている。
高橋一生と星野源。まさに相応しい役で、観終えた後、スッキリ。
勧善懲悪水戸黄門的な作品です。モヤモヤ感もなく、まさにエンタメ作品です。

姫路藩書庫番の片桐春之介演じる星野源、彼の成長する姿がストレート過ぎてスッキリします。後味もいい。

姫路から大分県の豊後への国替。国替えとは引っ越し。
参勤交代よりも財政負担を強いられる。
借金に加えて減棒となるとリストラを強いられ、クビになった士族の反乱や引っ越しのストレスなどが考えられる。
また金子(きんす)の調達の工面しなければならい。
これらがうまく行かないと下手をすると藩のお取り潰しというピンチでもある。
そんなときに最も集約な役回りが「引っ越し奉行」なのだ。
それに選ばれたのが、片桐春之助である。前任者はその仕事の激務で過労死。
死人に口なしで、引き継ぎもない。好きの変わり者ならば…というか、責任をとりたくないから、普段から書庫に引きこもりの片桐春之介が選ばれたのだ。
春之介はどちらかといえば、リーダーシップを発揮する立場ではなく、
今で言う図書館で本ばかり読んでいる「ひきこもり」なのである。

投稿者プロフィール

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天雨 徹
人財育成、技術系社員研修の専門家。東京都市大学特任教授。博士(工学)。修士(経済学)。専門は「電力システムネットワーク論」著者に「IEC 61850を適用した電力ネットワーク- スマートグリッドを支える変電所自動化システム -」がある.ブログは映画感想を中心に書いている。
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