「おしえて!ドクター・ルース」
オススメ度:★★☆☆☆
理由:ドキュメンタリー作品は本人の生の声が聞ける。それがいい。ちょっと間延びしている点もあるものの、彼女の歩んできた人生そのものがよく分かる。性に対して悩んでいる人には、あっけらかんと語る彼女の言霊に、今まで悩んでいたことが嘘のようになるかも知れません。どんな苦境でも笑える前向きな姿勢。そして、性も生活の一部だということを教えられる。男女とも生涯現役なのだ。
この作品は、91歳にして未だ現役のセックス・セラピストとして活躍するドクター・ルースことルース・ウェストハイマーさんを追ったドキュメンタリー映画です。
何でも、80年代のラジオ局が発端となって「性の悩み」相談するドクター・ルースが評判になり、その後テレビで大ブレイクしたという。
その表情からは、とても91歳には見えません。とても笑顔がいい。
しかしそんな彼女には、壮絶な経験があった。その経験が物凄いのだ。
人は他人(ひと)の苦しみを自分の事のように知っているからこそ、他人(ひと)に優しく接しられるものなのかも知れませんね。
そして本人がその「苦しみ」に対して、「どう考えるか」で決まる。
その考えが、まさにドキュメントだけによくわかります。
当時は、まだ男女の性差、いわゆるジェンダ-など、しっかりと確立されていなかった時代。
そしてカトリック教徒が絶対的な力があった時代でもある。
そんな中で彼女は「中絶」の問題を、政治とは一線を画しながら女性の権利向上だとして、全面的に支持したんですよ、凄いですよね。
また同性愛につても肯定的な立場であったんです。
そうした斬新的な天性の前向きさはどこからくるんだろうか。
それはおそらく彼女の生い立ちにもあることがこの作品を通じてわかると思う。
彼女はドイツで生まれ、幼い頃に家族をホロコーストで失った。
終戦後はパレスチナでスナイパーとして活動したのだ。
そんな数奇の運命に持て遊ばれながらも、いつも自分を失わない姿勢。常に笑らっていられる。
「生きているだけで大儲け」なんだとさも言わんばかりに。
ドキュメント作品は、大抵の場合、間延びするところがある。それが気になるのこころ。
どうしても、上の瞼と下の瞼が仲良くなってしまう。
そして偶然というのはやっぱり必然かも知れません。最近、そういった機会に遭遇することが多いように思います。つまり、偶然=必然という事象。
この作品を観るほんの二週間ほど前に「タントラ」の神秘的な世界を体験させていただきました。本当に物質と精密な身体でそこに流れる管「チャクラ」です。人体とは摩訶不思議なものである。
女性は宇宙そのものですから。
これまで理系で唯物史観的な発想だったのが、最近神秘的なものを感じたりする。歳のせいなのか。やっぱり不思議な「虫の知らせ」的なものを感じることが多いんですよね。
投稿者プロフィール
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人財育成、技術系社員研修の専門家。東京都市大学特任教授。博士(工学)。修士(経済学)。専門は「電力システムネットワーク論」著者に「IEC 61850を適用した電力ネットワーク- スマートグリッドを支える変電所自動化システム -」がある.ブログは映画感想を中心に書いている。
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