本作品はこれまでの価値観や常識はどこかに追いやられしまい、
新しい価値観を構築されていく。
自信を失っていたティーナが自己肯定感を高めていくシーン。
本当はどんな生き方が正しいのか。もともと正しいも正しくないもないのだ。
結局は自分が良いと思う道を進むしか、ないんだよなぁ。
自分のことを信じられずに一体だれの可能性を信じるのか。
まただれを頼るのか。
そう思うと、まんざら自分の人生も、また、
どんな人の人生も捨てたものじゃないのかな。
渡航者の怪しい所持品を嗅ぎ分ける超能力を持ったティーナ。
怪しい渡航者のヴォレ。本作品はファンタジーでありながら、
メルヘンタッチではなく、どちらかといえば、とても表面上は醜い。
しかし心は純粋なんだ。そしてある意味ではSF作品でもある。
性とは何か。男女とは何か。人種とは民族とは何か。
ボーダーレスなのか。それともボーダが存在するのか。
過日観た「マレフィセント2」では、妖精VS人間の戦い。
それに近いかも知れない。だから共通点もあるように思う。
ティーナは一見、容姿は醜い。
しかし、何だろうか?
それは心なのか何か、純粋さなのかな?
美しさを感じる。
現代版の神話というべきか、
あるいは現代版寓話ではないか。
新しい世界観ができあがっている気もします。
この展開は凄い流れ、凄い発想。
序盤は、どういった展開になるのか先行きが全く不明。
嗅覚が特殊な女性?いや異星人?
染色体異常?男女でもない新しい生命?
一体どんな世界に作品鑑賞者を誘ってくれるのか。
後半戦は、人は容姿ではなく、美しい気持ち。心なのだと、
言わんばかりに引き込まれていく。
まさに魂が揺さぶられる感覚です。
人としてという器ではなく、
もっと大きな器で物事を捉える必要さえ感じた。
そして、そうならざるを得ない、
それでも、そう考えなければどうしても収まらない感覚だ。
自分の心の醜さが表面に出たような感覚だ。
オススメ度:★★★★☆
理由:何が正しくて何が正しくないか。
理性とか性とか、愛とか、もろもろの世界をひっくり返す、
そうした感覚が凄い。
ネガティブに落ち込んでいたら、
実はある方向から見たら、バラ色なのか?
それは何ら欠陥でもなく、
ごく普通だったってこともあるんだ。
私はこんな価値なんだ!って思っていたら、
実は別の180度違った価値だった。
自分の本当のことは、一番わかっていないのが自分なのだ。
自分の本当の姿を知るのはいつなのか。
同じ仲間に会える喜び。愛するという性の喜び。
そうした目から鱗が落ちるシーン。それが何時来るのか。
暗い闇の中でも、最も清らかで汚れのない美しい魂とは何なのか。
一見、ごく普通に見える善良な顔をした市民が実は、
とんでもない反社会的なことに手を染めていることだってある。
さりげない日常の中で異常な状況が展開されていることもあろう。
そんなことが、日常茶飯事に行てれていると思うと…
心が重い。
いつも誤解されているが、本当は、世間が認めていない人にこそ、
本当はとてもいい人だってこともあるんだ。
復讐心と正義は相容れない存在なのか。様々なことがこの作品で試されている。
自分の存在を許容できるか、あるいはできないとしたら、
他を服従させてでも心のバランスを保とうするのか。
安全ということが幸せとは限らない。
経済的に豊かだということに余り意味がないかも知れない。
人は孤独の中で、それを見失うことなく生きていくこと。
それが大事なのかも知れません。
好きになった後、この人に出逢わなければよかった!
そんな経験、感覚の作品でもある。
♪♪~ 僕が僕であるために…勝ち続けなければならない…。~♪♪
僕が世間の常識とやらに近づいていくのか。
逆にその世界を自身の考えに近づけていくのか。
差別というのは根拠がないからこそ、根強い。
境界というのは消しても、消しても、
次々とまた発生していく。絶え間ないのだ。実に悩ましい。
応えのない世界に我々は存在しているのも事実なんだ。
投稿者プロフィール
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人財育成、技術系社員研修の専門家。東京都市大学特任教授。博士(工学)。修士(経済学)。専門は「電力システムネットワーク論」著者に「IEC 61850を適用した電力ネットワーク- スマートグリッドを支える変電所自動化システム -」がある.ブログは映画感想を中心に書いている。
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