人は、絶望の淵にありながら、
それでも光が差していると感じるはずだ。
真っ暗闇では必ずしもないんだ。
そのわずかな光を信じたい。
パンドラの箱に
最後に残ったのは「希望」なのだ。
「希望」を捨てずに生きていきたい。
精神科の「閉鎖病棟」とは、
どんなところなんだろうか。
そこは社会から閉ざされた世界なんだろうか。
その閉ざされた世界で何が繰り広げていたのか。
医者、看護師、患者。人間関係。
そこで生活する人、治療を受ける人。
どんな気持ちで生活しているのか。
どんな生き様をしているのか。
いろいろなことを考えさせられる、
ちょっと重い作品でした。
由紀を演ずる小松菜奈は、
義父からのDVを受け、
居場所は、この病棟しかないんだ。
秀丸演ずる鶴瓶は脊損不全麻痺。
普段真面目なチュウさん演ずる綾野剛も、
統合失調症なのか幻聴の発作が悩ませる。
人はいろいろな人がいる。
人としてクズのような人もいる。
人には過去がある。さまざまな過去がある。
過去が未来を決めているのか。
未来は過去を断ち切ることで変わっていくのか。
どんな生き方をしたいか。
精神病棟。こういった作品を通してからしか、
病棟のことはわからない。
なかなか知る機会の無いのがこの病棟ではないか。
普段の人が感じたことのない世界。
そんな世界を少し垣間見たい気持ちがある。
さまざまな精神科の患者達。
本当にいろいろな人がいる。
まさに人間模様だ。
ぶつぶつと独り言ばかり言っている人
すぐにパニックになる人。
いつも暴力を振るう人。
などなど。
社会から閉鎖されてしまった人たち。
その病棟。
一人ひとり、「それぞれの朝」なんだ。
そして、
どうやって、
閉鎖された中から外に出るのか。
外に出ることが最終目標なのか。
幸せとは一体なんなのか。
逆に喧騒とした社会と閉されているからこそ、
むしろ、時を刻む間隔が
ゆっくり流れているような気がする。
私も1年近く入院して、そういう体験をした。
そしてその入院生活では、
先生や看護師さん、
そして患者同士が
とても親しくなる場でもあるんだ。
私も、同じ入院患者同士皆で
外出許可をもらって
ビールを飲んだり、外食したり…。
そう思うと、この作品は、
そうした描写が実によく描かれている。
死にたいと思えることがあっても、
病室で笑える時もある。
まだ笑える時間がある。
辛く泣きたいこともあるが、
笑える時間もあるんだ。
それに気づくこと。
それが「生きる力」にもなるんだと
思うんです。
「閉鎖病棟」というのは、
逃げ場かも知れないが、
逆にそれが、
心を休める所なのかも知れません。
閉鎖させた病棟は、通過点でもあり、
心の場でもあるんだと。
オススメ度:★★★★☆
理由:社会から閉ざされた世界の人が
どんな生活をしているのか。
そういった、人たちの「それぞれの朝」
それぞれの人生。生きること。
人の尊厳について考えるには
ピッタリの作品だと思います。
投稿者プロフィール
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人財育成、技術系社員研修の専門家。東京都市大学特任教授。博士(工学)。修士(経済学)。専門は「電力システムネットワーク論」著者に「IEC 61850を適用した電力ネットワーク- スマートグリッドを支える変電所自動化システム -」がある.ブログは映画感想を中心に書いている。
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