アカデミー賞長編アニメにノミネートされた作品「失くした体」

失くした体

オススメ度:★★★☆☆
理由:
おそらく水戸黄門的な「おしまい」がない。
スッキリしない不完全さが逆にいいのだ。
後は観ている観客が考えてね…バイバイって
まるで言っているような作品。
そこが神秘的で奥が深い。そして怖い。
モヤモヤ感たっぷりの作品に
没頭したい人には超オススメです。

フランスのアニメ作品。

さすが、
アカデミー賞の長編アニメーション賞に
ノミネートされただけのことはある。

あの一瞬の、あの出来事さえなければ…。
後悔してもしきれない。
後悔しても仕方のないことだけど、
一瞬の心の隙が災いを起こす。
両親そして自身の事故も。
すべてに自身の行動が絡んでいる。

偶然が偶然を呼ぶ。不幸が不幸を呼ぶ。
これも運命なのかな。
負のスパイラルに落ちていくんだ。

切断されたしまった右手。
その右手が
自身の体を求めてパリの街をさまよう。

右手が自身を探す間に、いろいろな経験をしていく。
その度に記憶が遡る
その情景、その記憶。
その描写がいかにも丁寧で絶妙だ。

以前、手だけが動く作品があった。
その作品は「アダムスファミリー」。
これは完全にコメディ作品だった。
笑えた。

「アダムスファミリー」では
手だけが意識を持って走り回るハンド君が居た。
確かに居たんだけど、
随分違う。

なんといっても、本作品では笑えないからなのだ。

笑えないけど、切なくて胸を打つ、
突き刺さる、それでいて、共感するわけでもない。
とても表現するのが難しい作品。
このモヤモヤ感が半端ありません。
重い悶々とする作品だ。

繊細に動き回る右手。そのアニメーション。
凄い迫力だ。観ていて怖くなる。

爽やかさやスッキリさがまるで皆無。
そして半端ない暗さ、
運を持ち合わせていない、
半ば欠けるとも言っても過言ではない
主人公のナウフェル。

素直なのか、ストーカーなのか、一途なのか、
こういった行動をする癖というのか、
どう言ったら良いのか。

異性に対しての気持ち、複雑な気持ちになる。
全く主人公には共感は持てないけれど、
なんか、もう少し、何とかなるんじゃないか?
そんな思いがした。
それでいて、そうした主人公の行動の一部が
私にもあるんじゃないか?認めたくは無いけど、
そう思ってしまうんだ。そう思うとホント怖くなる。

これまでの運。
流れを変えるには、思いきった行動にでるしかない。
運命が変わる予感が最後には少しだけした。

良い作品には言葉はいらないのかも知れません。
語ることで、進行していく作品でないところに、
この作品の良さがあるんだと思う。

観て絶対、後悔しない作品だった。良かった。

投稿者プロフィール

天雨 徹
天雨 徹
人財育成、技術系社員研修の専門家。名古屋工業大学客員准教授。博士(工学)。修士(経済学)。専門は「電力システムネットワーク論」
ブログでは日々の気づきを中心に書いている。
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