それは本物なのか贋作なのか。「ラスト・ディール 美術商と名前を失くした肖像」

ラスト・ディール(1)

オススメ度:★★★☆☆
理由:絵画を通してその風景。建物。
フィンランド作品だからこそだ。
ヘルシンキやストックホルムの街並み。
北欧に詳しい方、絵画に精通している方にはオススメ。
特にラストシーンが後悔の念と
何ともいえない暖かな気持ちとで、
胸を打ちます。

お馴染みのアテネウム美術館、
ベーカリーカフェ、
アストリア・ホール…。
オールチャーチ・パーク。
そして、やはりこの作品の鍵となった
ミレスゴーデン彫刻庭園だ。
どの情景も綺麗で歴史を感じるし美しい。

美術商店主、一人娘、孫。そして美術商仲間。人間模様。
店主の後悔がまた心に浸みる、それが現実なんだ。
ラスト・ディール…というタイトルから憶測していたストーリ
それを見事に裏切られた。そこがまたいい。
地味ではあるが、良い作品でした。

ラスト・ディール(2)

美術品、安く購入して高く売る。
株やFXの鉄則ではあるものの、
自分の身の丈に合わない買いものをして、
孫に借金までさせて
自身の欲求を満足させる。
なんと我儘な美術商のおじいさんなんだ。

彼には一人娘と孫がいる。
娘や孫のことには無関心で、自分の欲で生きている。
身勝手で不器用な人間なんだ。
その描写がまさに人間らしくて逆にいいのだ。

ある日、オークションで1枚の肖像画が彼の目にとまる。
署名はなかったが隠れた名画だと確信したのだ。
1枚の署名のない肖像画。
その謎解きを孫と一緒に始めていくストーリだ。

その肖像画はイリヤ・レーピンの作品だという。
近代ロシア美術の巨匠とも言われるレーピン。
ロシアのトルストイやドストエフスキー、
チャイコフスキーに並ぶ著名人だ。

本当に彼の作品なのか。ではなぜ作品にサインがないのか。
贋作ではないのか。様々な憶測が彼を悩ます。

そこで、絵画に関する情報を
図書館や美術館で孫と収集する。

不器用な彼が絵画通じて
孫と腹を割って話せる仲になっていくのだ。

彼も一人娘も孫も実直でないところに、
現実をそのまま突き付けられている気がした。
都合の良いときだけ連絡をする。そんなモヤモヤ感が
やるせなさが、一筋縄でないところが、実にいい味を出している。

彼の最後の勝負で得たものはなんだったのか。
人の一生で何が大切なんだろう?
そして反省する時は一人でいるときなんだろうな。
悔いのない人生とは。
気がつけば一日、一か月、半年、一年と経ってしまう。
考えさせられる作品である。
逢っていくうちに人の心は変わっていくんだ。
多くの人と繋がった方がいいと思う。
人生は一回限りだ。

投稿者プロフィール

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天雨 徹
人財育成、技術系社員研修の専門家。東京都市大学特任教授。博士(工学)。修士(経済学)。専門は「電力システムネットワーク論」著者に「IEC 61850を適用した電力ネットワーク- スマートグリッドを支える変電所自動化システム -」がある.ブログは映画感想を中心に書いている。
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