とってもナンセンスな展開だ、それでも、ほっこりする暖かさがたまらない「一度死んでみた」

一度死んでみた

オススメ度:★★☆☆☆(2.8)
理由:ふと気を抜きたい。
そんな時には良い作品です。
一日中、張り詰めた時間の中にいると、
非日常になりたくなる。
テーマやコンセプトなんて、どうでもいい。
そんな思いで、観る作品ですね。
意外にも面白かった!!
ちょうど、そうそう、藤山寛美…。
そんな人情をこの作品に感じるのだ。

母を思春期に無くし、父娘の生活。
仕事重視の父に反発する娘。
その父の仕事は薬の研究だ。

彼が社長をする製薬会社で作った薬。
それは2日間だけ死ねる薬だ!
これを飲んだら2日間だけ
仮死状態になるという薬だ。

考えてみたらとんでもない薬だ。
そもそも、そんな薬があるのか?

ま、それは置いておいても、
わかり易い展開だ。

それを飲んでしまった
製薬会社社長の父。
吸収合併、乗っ取り…そうした陰謀の中、
その父が生き返る前に仮死状態になった躰を
なんと火葬したちゃおうという悪巧み。

そこから救うために頑張る不良娘。(笑)
不良娘は父のことが嫌いだったのに、
それでも、死ぬ前に「一言」言いたかった
ことがあったらしい。(笑)

その父の製薬会社で、
パットしない影の薄い社員と
協力して奮闘する娘。
なんともわかり易い
水戸黄門的落ちのコメディ作品だ。

だからこそ、逆に安心して観ていられる。
これが安心感なんだ。

本当は社長を葬ろうとする作品なのに、
ハラハラするところがまるでない。
恐らく、この安心感が堪らなく
求めていたものなんだろう。

野畑七瀬を演じる 広瀬すず。
そして、その父親役は、
なんと「神さまはバリにいる」の堤真一。
ふたりとも面白過ぎる。

三途の川の案内人には
リリー・フランキー。

それに
松田翔太

そして何故か、
宇宙飛行士の野口聡一さん。
お坊さんは竹中直人
異色豪華キャストだ。

実に面白い。
思わず、シーンとなっている映画館で
笑ってしまった。そして涙した。

腹の底から笑える。

非現実の中に身を置くと、
現実の嫌なことがバカバカしくなる。
しかしながら、
コメディの王道ではありながら、
涙あり笑い有りで、時に、
判っちゃいるけど泣けてしまう。

そんな共感してしまう部分もあるんだ。

ナンセンスな作品ではあるが、
それでいて、笑える泣ける不思議な作品。

確かにちょっとコミカルだけに、
演技も喜劇のように
少しオーバーアクションではあります。
でもそこは、お愛嬌だ。

死んで後悔するぐらいなら、
せめて死ぬ前に言いたいこと、
やりたいことをした方がいい。

コメディの中にも、
生きるというテーマ。
自分は本当は何がしたいのか。
人の親の世間の反発だけで、
一生を捧げるのか。

この世に受けた以上、
ひょっとしたら、
それなりに使命があったり、
家族の愛だったり、
人に伝えてこその何か…。
それは言葉だったり…。

そうした随所随所に
隠れたメッセージがある。

単なる馬鹿笑いするコメディに加えて、
一癖二癖捻ってある演出がイキである。

カメオ出演もあって笑える。
それでも、ホロリ。
こんなコメディのような作品でも
泣けるシーンがあるのがまたいい。

投稿者プロフィール

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天雨 徹
人財育成、技術系社員研修の専門家。東京都市大学特任教授。博士(工学)。修士(経済学)。専門は「電力システムネットワーク論」著者に「IEC 61850を適用した電力ネットワーク- スマートグリッドを支える変電所自動化システム -」がある.ブログは映画感想を中心に書いている。
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