オススメ度:★★★☆☆(3.8)
理由:これは祭典ではない。
閉ざされた世界に
新しい流れを入れる紛れもない90年に
一度の「祝祭」なんだ。
ホラーではあるが、その恐怖というのが
表面的ではない。心底ぞっーとする。
だから逆に、そんなに怖くはない。
異次元の世界が味わえます。
パニック障害とは奥が深い。
妄想、トラウマ、不安、恐怖……
悲しみと笑いは
全く正反対のように見えて
実は遠くて近い。
自分を失うとは、
結局はそれ故にこそ、
自由を手に入れてことになる。
そして、
それはより自身を
輝かせてくれることかも知れません。
両親、妹、ボーイフレンド、人間関係。
支えてくれる人だったり、
しっかり地に足を張った自分。
孤独感、喧騒感などなど。
そんな面倒な彼女と、
実は別れたい。
別れたいけど、
彼女には言いづらい…。
彼。
カルト集団のような
スウェーデンの片田舎の集団生活。
夏至祭、白夜、日が暮れない。
幻想的である。
まるでそこは
オウム真理教の
サティアンのようだ。
常識と非常識。
正しいことと悪いこと。
生まれた環境に左右される人間。
一見、異常に見えることは、
順応すれば、常識にもなる。
あらためて宗教や慣習とは
人の常識をも左右する。
先人からの教えに従うことを
常に正しいとしたならば、
この作品の世界も
まさに聖なるもの。
正しいということにもなる。
道徳とは倫理とは
どういった背景で
形成させるのか?
そこまっで踏み込んだ
作品かも知れない。
文化人類学の立場から
研究論文を書くに
うってつけな場所だ。
一見美しい風景、そして親切な村人たち。
しかし、それは儀式の始まりだった。
R18+指定でホラーでありながら、
ホラーに見えない作品だ。
明るい映像の中にあってのホラー
恐らくホラーでありながら、
不快さがこみ上げてこない。
美的センスすら感じる。
美しい映像だからこそ、
その内なる面とのギャップが
面白いし深い。
反面、
耳から入る不気味な音楽との
ギャップが
目から耳からの刺激を
フルに回転させる作品だ。
ストーリの先が見えない…。
それが惹き込まれていく所以だ。
完成度が高い作品だ。
一見惨たらしいように見えることが、
実は自然だったりする。
それが野生動物や
植物だったりする。
むしろ人間の方が
社会地位とか名誉、恋愛沙汰等々。
自然からすれば異常なんだ。
今当たり前に生きてる、この世界。
それこそが不自然なんだ。
「普通」に見えることが実は
本当は「異常」なんだ。
悲惨で不快でもあるが、
ある意味ではそれが、
あの世界観に
意味有るものなのかも知れませんね。
姨捨山。青森の恐山をイメージさせる。
投稿者プロフィール
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人財育成、技術系社員研修の専門家。東京都市大学特任教授。博士(工学)。修士(経済学)。専門は「電力システムネットワーク論」著者に「IEC 61850を適用した電力ネットワーク- スマートグリッドを支える変電所自動化システム -」がある.ブログは映画感想を中心に書いている。
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