30年間の流れを3時間で映し出す作品「在りし日の歌」

蛍の光

オススメ度:★★★☆☆(3.2)
理由:無理してみただけの価値はとれる.
人生の谷,深い悲しみの中で何を見出して
生きていくべきなのか.
思い通りにならないのも人生.
その人生を途中で投げ出さずにしがみつくこと.
それも,しなかやに.
我武者羅にしがみつくと折れてしまいそうになる.
幸福も後悔も不幸も混ざっている中で,
良いところだけを見つければ,
人生もそれほど捨てたもんじゃない.

在りし日の歌

原題:So Long、My Son(地久天長)
2019年中国ドラマ映画 3時間余りと長い作品.
約30年間の2つの家族の物語だ.
だから長いはずです.1980年~2010年.
急成長の経済という時代背景.よく映し出されています.

共産主義.目標.国営企業から一転し,
資本主義を導入.そうした時代背景が
家族を視点に見事に描かれている.
一人っ子政策の中で,
事故で息子を亡くした家族と残った家族.

彼らの息子は同じ日に生まれ,
どちらの家族も同じ国有工場で働いていた.
ところが,ある日貯め池で遊んでいた
一方の家族の息子が溺死した.
大切な一人息子を亡くした二人.

時折,作品中に流れる「蛍の光」
永遠の友情を伝える歌詞だ.まさに地久天長…

人間模様,恋愛,結婚,子育て.
一人っ子政策.経済改革による集団解雇.
人生の喜怒哀楽.中国の社会的変化と複雑な人生経験が
この作品で垣間見れます.

幼少期からまるで兄弟や親類同然の
付き合いの2つの家族.
しかし,溺死事件が被害者と加害者家族に分けた.
色々考えさせられる作品だ.

双方とも幸せで仲良かった2つの家族.
時代に翻弄され,そして苦しんできたのは,
被害者家族だけではなく,加害者家族も長い間自責の
念をいだいていた.

一人っ子政策,文化革命以降の1980年代から
現代までの中国.社会の動きを家族とういうの
目線から,中国という政治体制が見ることができる.
共同体制から格差社会への時代の流れ.

ひとりっ子政策の中で,
こうした家族もあっただろう.

ふたり目を身ごもり,
まるで病気のように周囲から蔑まれ,
堕すことを強要される.
養子として育てた子の家出.
失意の中にあって,淡々と働き,
ホッと一服する煙草の煙.
お酒を一口に運ぶ父親の姿に共感する.

これだけ不幸は続いても,人は生き抜くことで,
良いこともあると信じることだ.
それが生きるために必要ではないか.
明日は無いかもしれないけど,
今を生きるしかない.
人生は続くのだ.

長い間疎遠になった久々に集まる互いの家族.
複雑な想い.これまで閉口してきた溺死に至った
事情を息子が告白した.この勇気ある告白に対して
果たして息子を亡くした親として,

「話してくれてありがとう」
と言えただろうか.

事実は恐らく,この家族は知っていたけど,
残された子どものことに気遣うこと.
そんな良心が自分にはあるのか.

とても辛い,そして思うように生きられない
葛藤の中にあって,懸命に生きる姿が共感を生む.

人間臭い.心が痛む.
最後のエンディングは救われた.

投稿者プロフィール

天雨 徹
天雨 徹
人財育成、技術系社員研修の専門家。名古屋工業大学客員准教授。博士(工学)。修士(経済学)。専門は「電力システムネットワーク論」
ブログでは日々の気づきを中心に書いている。
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