女性は不潔!そう刷り込まれた人から手を差し出されたとしたら…「その手に触れるまで」

その手に触れるまで

オススメ度:★★★★☆(3.8)
理由:ありふれた日常の中にあって,
憎しみに近い感情が生まれていく.
過激派イスラムに染まっていく
その心痛穏やかではない有り様.
心の動きを映像で見せるのは見事だ.

2019年のベルギーのドラマ映画
わずか13歳のベルギーの少年が
信心深いイスラム教徒,
それも過激派イスラムへ.
アッラーの名の元で,
女性の先生をイスラムの敵だと.導師が言う.
反教者だと.
そして,純粋な少年は,
その女性教師を殺そうと企てる.

人は宗教でここまで変えるのか.

そこには理屈は存在しない.
そしてなぜ,
少年はそこまで入信するに至ったのか.

彼はもとはケータイゲーム好きの普通の少年だった.
崇拝するイスラム指導者により感化されたとしても,
そんな過激な思想に染まっていく様が
今ひとつ理解できない.

そして,作品登場する導師,
それがどうしょうもないクズなのだ,
私利私欲のことばかり.
そんな指導者の元で,
どうして少年は染まっていくのか.
そして崇拝していくのか.

最後があまりにも…衝撃的な結末.
人の生き方を左右する宗教や思想.
突然のエンドロールに度肝を抜かれた.

感受性が強い多感な少年期.
人はたしかに人に接することで
さまざまな葛藤の中で成長する.
だれと出逢うかで人は変わる.
良い出会いが必要だ.
それも運なのか.
自我というのは,
どのように育まれていくのか.

この作品の中では,
そもそもイスラムが女性蔑視として
捉えているように思える.

差別や偏見についても考えた.

そうだ….
思い出した.
心の傷.深いところにある嫌な思い.
幼い頃,知的障害の子を,
よってたかって近所の仲間で
一緒になって虐めたことを思い出した.

今も心に残っている.
非常に悔いている.

そうした差別は偏見が生まれるのは,
本当に大事なことを,そうした教育を
その時に教えてないからだ.

今にして思えば,差別や偏見.
なぜあの時気づいてやれなかったのだろう.
なぜ,あの人の気持ちを考えて
やれなかったのだろう.

人を大切にする.
人に関心を持つという,
そうしたごく普通のことに,
気づかなかったのだろうと.

なぜ,あんな素直で優しい少年が,
過激派イスラムに染まっていくのか.
あまりに奥が深く,
日常の一部として表現されていることに
感銘を受けた.
さすが,パルメドールノミネート作品だ.

僅か90分弱の中に
凝縮された作品.

聞く耳を持っていないとは,
まさにこうした少年のことだ.
視野が狭い.視座は低い.話が通じないわけだ.

語彙が少なく,感情が顔に現れないからこそ,
むしろ少年らしいのかもしれない.
なぜ,そうした行動をするのか.

過激派イスラムではあるが,
時間になれば礼拝をする点は凄く真面目.

母親が「どうして…」って思うし,
ハグもしたくなる.

それでも,
彼の思想を変えることができない.
それでも,
諦めずに見守ることしかできないのだ.

女性蔑視の宗教観の中で,
女性に恋したとしても,
自分の思い通りにはならない….
相手には意志がある.子どもを生む道具でないからだ.

洗脳されやすい人は子どもたちだ.

偶然も必然も,それも出会い.
一つ一つが大事には違いない.
出会い…良い出会いをしたい.

投稿者プロフィール

天雨 徹
天雨 徹
人財育成、技術系社員研修の専門家。名古屋工業大学客員准教授。博士(工学)。修士(経済学)。専門は「電力システムネットワーク論」
ブログでは日々の気づきを中心に書いている。
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