この本は凄い,人生7回の裏.そろそろ潮時かと思ったが甘かった…『還暦からの底力』

MMP

『還暦からの底力』出口治明・著 講談社
オススメ度:★★★★★(4.5)
理由:これは売れるはずです.
なんといっても還暦に近い年の
私のグサグサ心に刺さります.
このベストセラー本には,
多くの還暦世代の人は救われます.
また,若手の方にも是非オススメの一冊.

同じ東海出身の出口先生は,
還暦でライフネット生命を立ち上げ,
昨年古希を迎えた年に
立命館アジア太平洋大学(APU)の学長
に就任した方.

私も老体に鞭打って,
若いものの邪魔にならない程度に
参考になればというスタンスで.
と思う場面もしばしば出くわします.

そんな考えに喝を入れる一冊で,
グサグサとその言葉が刺さってきます.
確かに「年齢に意味はない」し,
ナベツネさんには,敬老パスは要らないだろうから,
高齢者の慰労のような「敬老の日」は廃止し,
著者のいうとおりシングルマザーに
手厚くした方がいいようにも思います.

人生100年,まさにライフシフトの時代,
国の制度設計も見直す時かもしれません.

還暦を迎えたから,これをしなさい.とか,
あれをしなさい…といったノウハウモノ
ではなくて,著者のものの見方や
考え方に共感する部分が非常に多く,
これからを100歳まで生きるうえで
多くのヒントをいただきました.

出口学長も60歳,70歳でのご活躍が
半端なく凄いけど,そもそももっと前に
中国「法顕」という僧侶は,
仏教をより深く学ぶために399年,
長安を出発し砂漠をラクダで旅したのは
60歳を超えていたし,
あながちこれからの時代は
年寄りだから…という先入観がよくない.
それよりも健康年齢で人を判断した方が
よいのかもしれませんね.

もう年だから…は,
この際度返しした方がいいです.

心のブロックを外して,
本来したいことや学びたいことに
断念してした方がいい!
そういうことに気づかせてくれます.

昨今,
コロナ禍で,一つのエピソードだけを
捉えて報道するケースも目立っています.
やはり著者のおっしゃるとおり,
エビデンスに注目する見方が必要だと,
あらためて感じました.
そしてさらに,著者のいうとおり,
確たる「数字」「ファクト」「ロジック」で
抑えること.
そのためにも,そうした見方ができるよう,
教養(=知識×考える力)を身につける
ことが肝要かと,とても共感しました.

そして何よりも,
「物事にはそれを行う時がある」
つまり流中があるのだと.
まさにこのタイミング,いつかではなく今.
これを逃すと絶対に出来なくなる時期もあるし,
また,やれたとしても,
全く楽しめないこともある.

他に印象に残ったことを
以下に紹介します.
◇ 歳とともに体力も劣ってくるので,
その時につらくなったら辞める.
だから定年という枠は不要.
マハティール氏は92歳だった.

◇ どんな動物も年老いた動物は,
次の世代の動物のために残すもので,
年寄りの面倒を若い人がするのは人間だけだ.

◇ Googleのようなユニコーン企業を
生むには,1)女性登用2)ダイバシティ3)高学歴が
必須だ

◇ 高学歴といっても,トンデモナイ尖った人.
変態オタク系や偏差値系の2種類の大学に分けられる

◇ 従来のように「飯・風呂・寝る」
といった考えをあらためて「人・本・旅」の考えに
変えていく必要がある.

◇ 人間観をシンプルに2つに分けて,
人は勉強すれば賢人になれるという人生観,
つまりはフランス革命が代表されるような考え
「革新主義」と,もうひとつは
人間は所詮勉強をしたところで猪八戒のような存在.
だからあかんという考え「保守主義」があると.

◇ 「迷ったら,やる・買う・行く」こと

◇ そして,世界の動きを理解するには,
必読古典書が6冊ある.
ベネディクト・アンダーソン『想像の共同体』
ウォーラーステイン『近代世界システム』
アダム・スミス『国富論』と『道徳感情論』
ジョン・ロック『統治二論』
そしてダーウィン『種の起源』だ.

◇ 行動しなければ,
世界は一ミリたりとも変わらない.
いくつになっても
楽しい人生を送りたかったら,
いまの自分が一番若いのだから,
いますぐ行動すべきだ.

<INDEX>
第一章 社会とどう向き合うか
・「何歳まで働くのか」を考えても意味がない
・高齢者が生かされる歴史的・生物学的意味
・「敬老の日」を廃止せよ
・「年齢フリー」の世の中に
・グーグル・アマゾンを生み出せない日本の教育
・「飯・風呂・寝る」の生活から脱却せよ

第二章 老後の孤独と家族とお金
・「老後の孤独」の本質はゆがんだ労働慣行
・死んだら星のかけらに戻るだけ、恐れても仕方ない
・次の世代のために、自分の範囲でできることをする
・運をつかむカギは「適応」にあり
・人とのつながりは「自分」というコンテンツ次第
・人生は愛情の獲得競争
・子孫に美田を遺さず、必要なら生前贈与を

第三章 自分への投資と、学び続けるということ
・80歳でもチアリーダーになれる、DJになれる
・「昔取った杵柄、新たな物事への「感染」
・英語で一番難しいのは日常会話
・成果の出る学習の秘訣は「仕組みづくり」
・「物事の見方」をどう磨くか
・学びが還暦後の底力をパワーアップする

第四章 世界の見方を歴史に学ぶ
・日本が鎖国できたのは「世界商品」がなかったから
・スペインの没落を招いた「血の純潔規定」
・ダイバーシティで栄えた国、反ダイバーシティで没落した国
・日本の敗戦はおごり高ぶって開国をしてた結果
・世の中を理解するために必読の古典とは
第5章 持続可能性の高い社会を残すために
・男女差別が日本を衰退させている
・男性が子育てをすると家族愛が高まる科学的理由
・赤ちゃんを産んでも女性が経済的に困らない仕組み
・社会保障と税の一体改革は必要不可欠
・よいリーダーとよい政府は市民がつくる

投稿者プロフィール

天雨 徹
天雨 徹
人財育成、技術系社員研修の専門家。名古屋工業大学客員准教授。博士(工学)。修士(経済学)。専門は「電力システムネットワーク論」
ブログでは日々の気づきを中心に書いている。
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