オススメ度:★★★☆☆(3.8)
理由:これは面白い.あれだけ威張っていた
政治家.ドンが,嘘に嘘を重ね,ほころび始める.
そして最後には泣き脅しあり,
土下座あり….人は脆いということがよくわかります.
富山市のチューリップテレビの
ドキュメンタリー.
富山市議会の政務活動費に関する
不正を暴き,日本記者クラブ賞特別賞,
ギャラクシー賞報道活動部門大賞,
菊池寛賞などを受賞した内容だけに,
素晴らしい作品だ.
富山市議の不正といえば,
あの政務活動費で不正が相次いだ事件.
政務活動費を慢性的に使いこんでいた
議員達そのとぼけ方が滑稽すぎる.
印刷代が半端ない.笑えるけど,
あの金額が不正に使われたかと思うと
腹立たしいものがある.
ありゃ,政治家ではなくもはや寄生虫だ.
事の発端は,2016年.
チューリップテレビのスクープ報道で
自民党重鎮の不正が発覚した.
現職議員が議長はじめ十数名も
相次いで芋づる式に辞職に追い込まれた.
その後富山市議会は猛省したとして,
一番厳しい条例を制定したとのこと.
しかし,そんな条例はどこ吹く風.
3年半が経過した2020年でも
議員たちは不正が発覚しても
辞職せず居座っている.
腐敗と開き直り.少しぐらいいいじゃないか.
こんな小さいことをいちいち切り取って
取材するなよ!って声が聞こえてきそうだ.
破廉恥議員は,自分の行動を棚にあげ,
与党を正すなど,どの口が言ってるの?
という感じです.まさにお馬鹿のオンパレード.
従業員わずか100人も満たない地方放送局が,
こうした政治の不正に挑み,政治家の…
いや,人間心理を鋭く描いている.
人はマイクやカメラを向けられると,
思ったことと違ったことを語る
ものなのかもしれません.
その様子が生々しい.
まさにドキュメンタリーの醍醐味.
事実をカメラが切り出しているだけに
実に滑稽だ.
私は知らない.人に任せてある….
秘書がしたこと.いちいち覚えていない.
偉そうに発言していた人物が皮肉にも,
落ちていく.これがまた笑える.
そして,私が語る資格がない.
コメントを出す立場ではない.何それ?
っていう内容の連発.
こんな人を選んだのか.
と思えるぐらいひどい人たちの集まり.
政治家とマスコミはある意味,
仲良しクラブが一般している時代にあって,
こうした権力の監視というメディア本来の
重要な役割を果たしている
チューリップテレビ.
エンドロールの10分前,
「出る杭は打たれる」まさに
「中庸に徹しよ」という王道を
感じるエンディング.
情報開示を行政に請求した情報を.
こともあろうに公務員が
議員に伝わるように守秘義務違反で,
案に流したり.
一方,情報開示請求で手に入れた
膨大な資料から,取材を繰り返して
最後には裏を取った執念.
これは実に面白い.
公文書.開示請求も国民の権利.
行使してみたいと思った.
オススメの作品です.
投稿者プロフィール
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人財育成、技術系社員研修の専門家。東京都市大学特任教授。博士(工学)。修士(経済学)。専門は「電力システムネットワーク論」著者に「IEC 61850を適用した電力ネットワーク- スマートグリッドを支える変電所自動化システム -」がある.ブログは映画感想を中心に書いている。
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