「自分の居場所」を探す旅でもある夢の世界.「インセプション」

インセプリョン

オススメ度:★★★★★(4.9)
他人の夢に侵入して記憶を盗んだり
故意に種を植えつけたり,夢の世界を
設計できたり…そういう設定が超斬新で
面白過ぎます.
ただし,夢の世界の構造とかルール,
その展開がやや複雑なので,ある程度,
予備知識を持っていた方がより深まる.
あるいは2回鑑賞する気概が必要かと.
予備知識としては,「夢を盗む?」
といった程度で,
ほぼゼロに近い状態で鑑賞でしたが,
それでもハマります.

潜在意識と顕在意識.夢と現実.
虚無の世界.深層心理.時間という概念.
逃避,覚醒.自殺と鬱,
偉大な父に対するコンプレックス.
父性…すべてが一本の糸のように
繋がっている.
これはまさに,凄い世界.
映画館で見るために作られた
作品に違いない.

クリストファー・ノーラン監督,
レオナルド・ディカプリオ主演.
樺沢紫苑先生の超オススメの
2010年アカデミー賞受賞作品.
8部門にノミネートされ,
撮影賞・視覚効果賞・音響編集賞・
録音賞を受賞しただけに,
MX4Dで鑑賞しました.

それにしても,10年前の作品とは
思えない何というスケールの
大きな作品でした.

凄い脚本.壮大な構想.
ウィキによるとノーラン監督が
ホルヘ・ルイス・ボルヘス著
『伝奇集』の短編
「Las ruinas circulares(円鐶の廃墟)」
「El milagro secreto(隠れた奇跡)」
から着想をえたらしい.
創造もしない内容です.
他人の頭の中に潜って,
潜在意識にある夢から情報吸い取り,
また,意のままにコントロールする
種(アイディア)を植え付ける.

夢には深さが存在する.
第1階層,第2階層,第3階層だ.
夢の世界で夢を見る…すると
次々と深層へ入り込む.
そして時間の概念にズレが生じる.

夢の世界は現実世界の20倍も
ゆっくり時間が流れる.
現実世界の8時間が
夢の第1階層では1週間になり,
第2階層では約半年に,
そして第3階層では約10年近くとなる.

そして,重力と時間の関係.
まさに夢でありながらリアルな着想.

夢から目覚めるには,
夢の中で死ぬか,キックという
トリガが必要だ.なんでも三半規管は
夢の中でも生きているとのこと.
平衡感覚を故意に崩すと目覚めるのだ.

また,夢は共有できるということだ.
夢の階層には,それぞれ夢の中に
Zoomのようにホストが存在し,
そのドリーマーが亡くなると
その階層の夢は崩壊していく.

同じ夢を他人が見ていた…って,
神秘性を感じます.
その潜在意識の中で,
情報を抜き取られないように
自己防御反応として武装する…
というのも見ものである.
しかしまあ,
なんという…完璧なシステム.

ペンローズの階段,
「三次元ではありえない無限に上昇する階段」
という騙し絵はあまりに有名なエッシャー.

最後は「自分の居場所」は
夢や幻ではなく,
命が有限な現実ではないのかな.
現実の中で「自分が一体何をしたいのか」という
自問自答に応えていくことが大切なんだ.

投稿者プロフィール

天雨 徹
天雨 徹
人財育成、技術系社員研修の専門家。名古屋工業大学客員准教授。博士(工学)。修士(経済学)。専門は「電力システムネットワーク論」
ブログでは日々の気づきを中心に書いている。
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