すれ違いや挫折や裏切り…運命を感じる作品『糸』

糸

オススメ度:★★★★☆(4.0)
理由:後味の良い作品だ.
思わず人生を前向きに生きようと思える.
生きるのに,失敗ばかりで凹むことや
悔しいこともあるけど,
それでも生きていく.それがいい.

多少,こんな偶然があるか?
辻褄の合わない箇所も,そして,
人間関係も,あそこまでドラマチック
というあたりが,少しありえない展開
かもしれません.
しかし映画作品ですから.

それはそれで
いいかとも思います.

糸で織りなされている布のような作品.
それでいて,出会いは,
主役の二人だけではなく,
周囲の同級生,家族,同僚,仲間まで
広がっている.二人だけの物語ではない.
周囲の微妙な関係があるからこそである.

中島みゆきの「ファイト!」「糸」「時代」
悲しんでいる背中を見せる.
そして,それを応援したくなる.見
守りたくなる,人を大事にしたくなる.

ともに平成元年生まれの
高橋漣を演じる菅田将暉と園田葵を演じる小松菜奈.
平成から令和へ.
妥協,挫折,裏切り,最初からのやり直し,
さまざまな苦難の中でも,
それでも生きていくことで,
笑えることもある.
人生の中には,
あまりの感動で泣けることもある.

前向きに生きる.
凹む,へこたれるけど,
それでも強く歯を食いしばっていく.

最初,倍賞美津子さんかな?
とちらっと見えたので,これは何かある…
と思いましたが,やはり次への
ストーリー展開の伏線でした.

北海道を舞台に美瑛,函館,
そして東京,沖縄,シンガポール
どれも素敵な街で,
印象深い思い入れのある街だ.

人生のここで手放しては,
離れてしまっては一生後悔する.
そんなシーンが人生には
数回訪れるような気がする.
際どい一時が,誰にもあると思う.

たぶん,それぞれ鑑賞している人にも
ドラマがあって,それを映像と
重ねてみるから,共感を得ると思う.
隠していた,あるいは,ひょとしたら
思い出したくもないこと…
それすらもこの作品を通じて蘇る懐かしい思い出.
悔いることがてんこ盛り.

だからグサッと刺さる.
まさに耳から入る音楽は,
脳を刺激すること間違いない.

好きだからこそ,めちゃくちゃすれ違うことって,
とても共感する,
二人のタイミングの悪さは
「冬のソナタ」か「君の名は」
わかる・かわかる.

この切ない気持ちが,痛いほどのしかかってくる.
出会いは偶然で,すれ違いばかりだから.
それでも,諦めないことだ.
不可能かもしれないけど,
一度だけでいいから.
そう思うことが大事だ.

それでも,生きてさえいれば,
たとえ,みっともなくても,
まさに「運命の糸」って,必ずある!
でもその糸に,ちょっとした一歩.
踏み出す勇気がないと,
そのタイミングすら,
その神様がくれたタイミングすら,
失う結果に陥る.
そうそう,そんな,
恵まれたCHANCEは訪れない.
だからこそ,大事にしたい.
そのタイミングに全力で体当たりするしかない.
好きを我慢しない….
CHANCEは,そんなに何度も訪れないから.
どんな悲惨なことに出会っても,
結局は前を向いて歩くしかない.

たとえ無理だな…と思っても,
叶いっこないな.そう思っても,それでも
希望は捨てないことが大事だと,
あらためて,この作品で確信した.
二人の最初の出会いと
エンディング10分前の出会いが少し,
突飛な気もしますが,
前向きな生き方を感じさせる作品でした.

投稿者プロフィール

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天雨 徹
人財育成、技術系社員研修の専門家。東京都市大学特任教授。博士(工学)。修士(経済学)。専門は「電力システムネットワーク論」著者に「IEC 61850を適用した電力ネットワーク- スマートグリッドを支える変電所自動化システム -」がある.ブログは映画感想を中心に書いている。
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