オススメ度:★★★★☆(4.0)
理由:私の中では,高校生ものの青春映画は
キミスイ以外,それほどのものは無かったが,
この作品も中々のもの.
登場人物の誰もが,悪い人はいない.
落ち込むこともあるし,頑張ろうとすることもある.
至って普通の高校生.偶然が多過ぎて,
あり得ない設定も多く,ツッコミどころは
満載ではあるが,それでも,素直に,
人生も捨てちゃもんじゃない…と思える作品だ.
原作は,咲坂伊緒の漫画『別冊マーガレット』
実写版だ.その後にアニメ版が公開される.
やはり漫画が原作だけに,
実写とすると,現実に近くなるために,
こんなセリフ言わないだろうなぁと,つい思ってしまう.
しかし,そう思うと逆にちょっと損をする.
だからここはひとつ,多少の非現実な部分は,
目をつぶった鑑賞する方が得かもしれませんね.
多少斜に構えて見ていましたが,
後半からは不覚にもハマってしまいました.
思わず泣けました.
上手くいくには,時間がかかる.
そして偶然の悪戯もある.切ないし,
逆にホッとしたり,友情と恋愛感情.
単なる青春ものラブストーリでなく,
複雑な心の動きが見事に描かれており,
思わず涙.
そして「頑張れよ」とスクリーンに
言いたくなる.
単に「好き」というだけで,
猪突猛進できない事情が微妙に絡む設定.
家族を守るために遠慮する,配慮する気持ち.
異なる性格の男女4人.人は様々な事情がある.
隠したい事情.それがあるが故に,
素直に自分の気持ちに向き合うことを遠慮する.
言葉に出さずに,それが火種に相手に誤解を与える.
そういうことって振り返ると,
誰もが少なからず経験したことが
あるかもしれません.
だからこそ,
言葉は言霊.相手には言葉で,
自分の考えを伝えること.大事なことだ.
「失恋しても死ぬことはないから」
とても勇気をもらえる一言でもある.
「誰もが傷つかないことを望んでいる」
だからこそ,言葉を発することが大事なんだと.
相手を気遣って,
それがかえって思わぬ方向に向かうこと.
自分の力では,
どうしようもない与えられた環境.
家族.親.
多少非現実的な設定でも,
それでも進んでいくうちに,
その葛藤のようなものが交差し,
感情表現の奥深さを感じた.
複雑な家庭環境,自分の将来の夢…
さすがに原作漫画が,
数ある賞を取っただけに,
ベースがしっかりしている.
エンドロールに流れた
髭男『115万キロのフィルム』も
さらに作品を引き立たててくれた.
作品中に紹介があった
『アバウト・タイム-愛おしい時間について-』(2013)
も観たくなった.
投稿者プロフィール
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人財育成、技術系社員研修の専門家。東京都市大学特任教授。博士(工学)。修士(経済学)。専門は「電力システムネットワーク論」著者に「IEC 61850を適用した電力ネットワーク- スマートグリッドを支える変電所自動化システム -」がある.ブログは映画感想を中心に書いている。
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