2014年上海で起きた事件を元にした作品.「薬の神じゃない!」

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オススメ度:★★★★☆(4.4)
理由:確かに端々に
ツッコミどころ満載ではなるが,
心に突き刺さる作品には違いない.
実話に基づく作品だけに重い.
彼の行動が中国での白血病患者の
生存率に影響を与えたことは
確かなのだ.その人の心の動きに,
感動を覚え,涙煽れた.

ジェネリック薬と言えば,
療費節約として,
よく聞かれる言葉である.
本当に欲しい人が貧乏で
高価な薬が買えない場合は,
安価な国の認定のない
闇の薬だとしても,
そのジェネリックを
求める気持ちはよくわかる.

本作品は国内で認可されている
白血病治療薬が高価であり,
庶民には手に入らない.
それが結果として,家財を投げ出して
生きる道を選ぶか,
それとも死を待つか,
あるいは自殺するかの選択しかない.
他方,薬の成分が全く同じの
ジェネリック薬は安価である.
しかし国の認可が降りておらず
密輸すればニセ薬として
厳しい処罰が待っている.

最初はその話を断ったが,
お金欲しさの私欲で
そのルートを構築する.

しかし次第に警察の取締が
厳しくなり,一旦は,そうした
ヤバい取引を止めてしまう.

このため街には,
安価な薬を絶たれた患者たちが溢れ
次々と苦境に立たされて死んでいった.

共にヤバい仕事をしてきた
白血病の仲間の死.
そして残された家族.
そこから再度ヤバい仕事を
はじめる姿.
大手企業,製薬会社の利権,
そして官僚主義.そんな国家権力に
次第に対峙していく.
時間はかかったが,
結果として法改正までも
成し遂げる行動は称賛に
値すると思う.

再密輸では
患者の負担を軽くするため,
なんと法外な安さで売り捌いていく.

これまで私利私欲のために
やっていた闇の売買.
それが患者のために…・
社会貢献へと動き出す様が
実によく描かれている作品だ.

最初の一歩というのは,
たいていは不純な動機
だったりするものだ.
それが,人は経験により
失敗や悔いたことが次第に
人の成長への繋がっていく
のではないだろうか.

人が感動したり,悔いたり,
感情が揺さぶられた時,
勇気ある行動へと
導かれるものかもしれない.

最初の一歩は,
凄い覚悟があったと思う.
まさに人のため,社会貢献という
言葉でそうそう簡単に
片付くことではない.

実刑判決を受け服役までする覚悟.
その覚悟は簡単には真似できない.

我が国でも少なからず
良い治療を受けるにはお金が必要だ.
それが顕著に表現されている.
作品の中であった
『一番の病気は貧乏』
それが問題なのだ.
貧乏は救えない.それが社会の闇でもある.
主人公が最初から
善人ではないところが
逆に新鮮でいい.

結果として,
大勢の命を救う行為が,
法のもとでは犯罪となる.

法制度の矛盾と
迅速な対応が求められる.

ただ,一方で悪役になっている
製薬会社は,おそらくこの高価な
白血病治療薬を作るために
莫大な予算を研究に
費やしたのだから,
その対価として高価になるのは
ある程度,開発には必要な処置である.

ある一定期間保護したら,
ジェネリックは認めるべきで,
薬が本当に求めている患者に
行き渡らないのであれば,
本来の医療の意味がない.
高価な薬品は,
自身の症状は「楽」になるが,
決して生活は楽にならず,
苦しいものとなる.
寄り添うこと.
その大切さ.感動した.

投稿者プロフィール

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天雨 徹
人財育成、技術系社員研修の専門家。東京都市大学特任教授。博士(工学)。修士(経済学)。専門は「電力システムネットワーク論」著者に「IEC 61850を適用した電力ネットワーク- スマートグリッドを支える変電所自動化システム -」がある.ブログは映画感想を中心に書いている。
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