あのグリコ森永事件を題材にここまで想定するとは凄い…「罪の声」

罪の声

オススメ度:★★★☆☆(3.5)
理由:見応えは十分だ.
あの事件の真相は,
おそらくこんな風なのでは
ないか?と,想像が膨らむ.
そうした背後関係を
示唆するのは,
やはり推理小説の醍醐味だ.
全く絡み合っていた事件の
真相が,少しずつほつれて
解けていく様は,
実にワクワクする.
そして,
ワクワクする中にあっても,
人間模様が鋭く描かれていて,
観客を楽しませてくれる作品
になっている.見事だ.

実際に脅迫テープに使われた
3人の子どもたちの声.
一見,相反する二人が,
共通の敵に向かって,
手を組んで行くことなる進展.

あの「グリコ森永事件」
といえば「キツネ目の男」.
あの事件を元にした
フィクション小説の映画化だ.
原作の塩田武士も松本清張と
同じ,元新聞記者.
それだけに筋書きに飛躍がなく,
さすがに映画化されるだけに
ストーリも面白い.実にリアル.

そして演じる小栗旬と星野源.
まさに絶妙のコンビの
白熱の演技だった.

あの録音テープの「声」の
持ち主が,実は子ども時の
自分の声だったとしたら….

明らかに共犯ではないのに,
知らずに犯罪に加担することに
なってしまった子どもたち.

それを知ったとしたら,
どうするか.知らず知らずに
自らの意図は,全く別に事件に
巻き込まれることに
なってしまった子どもたちの運命とは.

何も知らずにその声を
盗まれたと言ってもいい.
そう思うと,切ない….

未解決な事件,
時効となった事件
今さらそんな
「過去を掘り起こすことの意義」
とは一体何なのか.
その事実を知って,
その後の人生が大きく変わることもある.
知らない方がよいこともあろう.
知る権利と個人の尊厳とは何か.

あの頃,連日伝えられる
テレビ報道に釘付けになって観てました.

作品では,この事件は単に
現金強奪だけでなく,
株価操作や階級闘争など,
根深く複雑に絡み合っている
としている点が実に面白い.

ひょっとすると今でも,
世間から避けて生活を
し続けなければならない人が
いるかも知れません.

幸せと不幸せ,
想像を絶するような世界,
それは紙一重なのだ.

何かを得るためには,
その代償を払う必要が
あるのかもしれません.
でもそれは,結局は,
失うものと得るものは等しい
ということなのかもしれません.

グリコ森永事件から30年.
その事件を,
あるきっかけから調べる
星野源演ずるテーラー職人,
そして小栗旬演じる新聞記者.

それぞれが別々に事件を
調べていく中で
繋がっていく事件の真相.
そのストーリ作りが面白い.
また妙に説得力もある.

事件の真相は闇ではあるが,
考えれば少し恐ろしい作品
でもあった.

投稿者プロフィール

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天雨 徹
人財育成、技術系社員研修の専門家。東京都市大学特任教授。博士(工学)。修士(経済学)。専門は「電力システムネットワーク論」著者に「IEC 61850を適用した電力ネットワーク- スマートグリッドを支える変電所自動化システム -」がある.ブログは映画感想を中心に書いている。
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