正義と犯罪,金持ちと貧乏,幸福とは何か「ストレイ・ドッグ」

野良犬

オススメ度:★★★☆☆(3.8)
理由:ニコール・キッドマン,
素敵な歳のとり方とは,
こういうことかと感じた次第.
悪魔の囁きにどう向き合うか.
誘いに乗ったことで,
取り返しのつかない結果になったこと.
それは過去の自分と向き合い,
その自分の行動や言動に対して
責任を果たすということなのか.
必ずしも単純な復讐とは言えず,
自我,エゴを捨てないと
自身が助からないような気がした.

冒頭,事件がこれから
始まるように見えて,
実は終わっていたという展開が,
非常に面白い.
決してエンタメではない.

因縁の対決.事件を単独で
追っている理由も,
回想と現在を行き来していくうちに,
やがてわかってくる.
復讐は何のためなのか.
何故,酒浸りの毎日になってしまったのか.

人は,正義を振りかざして
戦い続けると,やがて疲弊する.
そして魔が指すことがある.
それは愛から.恋愛は冷静な
判断を妨げることもあるかもしれない.
正義と犯罪は対局に見えて,
実は紙一重.
それを見事に,
犯罪者のボスは彼女に潜む
人間性を見事に言い当てた.

それは本当は
決して復讐ではなく,
過去の自分自身の精算なのだ,

警察官も人.
その時に選択した結果で今がある.
でもその選択は間違いなのか,
それとも正しいのか.
現状を打破するには,
あの選択は正しかったのか,
それでも….

エンドロール15分前.謎解き.
真相が判る瞬間だ.
ようやく冒頭の殺人現場で
彼女が語った言葉の意味が
わかった.かなり捻ってある.
見事!見応えがあった!

野良犬(ストレイ・ドッグ)とは,
主演のニコール・キッドマンの
ことだろう.しかし原題の
破壊者(デストロイヤー)の方が
しっくりとくるし,
合っているかもしれません.

ようやく観ることができた
ニコール・キッドマン.
あの美しい姿とは程遠い
メイクに脱帽です.
若き日のニコール・キッドマンとは
全くの別人.いや,その役者魂を
感じる作品だ.
老けメイク.そして若返りメイク.

あの事件.あの忌まわしい過去.
一生悔いても悔い切れない過去.
取り返しのつかない過ち.
いや,犯罪と言って良い.
魔が差したと言えば,
それまでである.

あれから,酒浸りの毎日,
別れた夫,そしてロス市警の
同僚からも,そして娘からも
疎んじられた存在.
まさに野良犬のような毎日を
送っている.
過去の罪悪感.
それは自分自身の罪.

それは自分の選択の過ち.
たとえ,その目論見が上手く
言っても,果たして幸せ
だったのかどうかはわからない.

投稿者プロフィール

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天雨 徹
人財育成、技術系社員研修の専門家。東京都市大学特任教授。博士(工学)。修士(経済学)。専門は「電力システムネットワーク論」著者に「IEC 61850を適用した電力ネットワーク- スマートグリッドを支える変電所自動化システム -」がある.ブログは映画感想を中心に書いている。
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