「一所懸命」の意味をあらためて確認する機会になった「ブレイブ -群青戦記-」

ブレイブ

オススメ度:★★★☆☆(3・0)
理由:ルールが違う戦国世界に
どこまでスポーツが使いモノになるか.
エンタメ作品なので,ハテナを
多目に見る必要ありです.そんな中でも
タイムスリップすることで,自身の行動が
歴史を変える可能性を持っているところが魅力だ.

原作は笠原真樹原作漫画『群青戦記』.
ヤングジャンプコミックスといえば,
描写が少年ジャンプに比べて少しリアルだ.
つまりゴア描写もある.
原作に忠実に再現すると
リアル過ぎて,
下手をすると低俗なゾンビ映画
にもなる危険がある.
どこまで脚本するか,
実写でどこまで見せられるかだ.

群青戦記 グンジョーセンキ コミックでは
滋賀県で本作では場所は愛知県.
織田方の丸根砦・鷲津砦
今川方の大高城・鳴海城
位置関係からすれば,
愛知に高校がないと辻褄が合わない.

あの予告からはアクションもので
小学生にも見られるエンタメのように
見える.しかしPG12.

丸根砦の生徒人質を奪還し
タイムスリップした元の
世界へ帰還したいという
ストーリには
あのゴア描写はひょっとして,
不要のようにも思えます.

原作のストーリを
あの時間制限の中で
表現するのは限界があり,
仕方ない.

それを補うかのように
役者陣が凄い.
本作が映画単独初主演となる
新田真剣佑.
そしてヒロインが山崎紘菜.
脇役の戦国武将の2人は
松平元康役を演ずる亡くなった三浦春馬.
「るろ剣」では最凶の敵だったけど
本作は全くの別人.
織田信長役を演ずる松山ケンイチ
いずれも演技は一流だ.あの熱演.
凄い迫力だ.

「一所懸命」と「一生懸命」
どちらも似たような響きで,
「命懸けで物事に取り組むこと」
という意味では同じ.
しかし,「一所懸命」は,
もともと武士が土地を命懸けで
守り生活の頼みにすることを意味する.
そこから単に「土地を守る」
だけではなく,
広く「命懸けで取り組む」
となったようだ.
「いっしょ」が「いっしょう」に
長音化して
「一生懸命」になったという.
この生き方が印象に深い.
その名は松平元康.
亡き三浦春馬の松平元康,
あの爽やかな中にも
戦国武将として生き抜く
覚悟が潔く美しい.
ケンイチの信長は
単に怖いだけではなく,
先見の明を見出す
資質がある.

歴史に
「もしも…」は禁句だが,
「本能寺の変」がなかったら…
信長の時代は,果たして世間が
言うように
ファシズム政治に
なったのだろうか.
ちょっと見てみたい気もする.

さて本作は確かに
ツッコミどころはある.
それはタイムトラベルの矛盾という
どうでもいいレベルではなく,
説明が足りないだけだ.
たとえば…
タイムトラベルで
切り取られた領域.
序盤のタイムトラベルの際
になぜ大量にアブラゼミが
発生するのか.
最後のシーンでの学校の教室.
亡くなった生徒や先生,
ケガされた生徒は….

なぜタイムスリップして
いきなり
丸腰の生徒に
襲いかかってくるのか.
乱闘シーンは多いものの,
その最中に生徒同士でケガを
介抱する時間が長すぎる,
乱闘中は自身の命が
一番大事なはずで,
相手も介抱中に試合を
中断することは無いハズだ.
だから命が取られるという
緊張感が感じられない.

なぜか生徒しかいない.
教師がいないのだ.

そして,
ルール違反でも何でも,
敵を殺傷すれば勝ちという
戦国の世界.
しかし現代スポーツでは
ルールがある.いや,
そもそも戦国のルールと
スポーツのルール
そのものが違う.

本作は
これらを無視して
あるいは丸呑みして
楽しむという覚悟が必要だ.

三浦春馬…
やはり惜しい役者だ.

投稿者プロフィール

天雨 徹
人財育成、技術系社員研修の専門家。名古屋工業大学客員准教授。博士(工学)。修士(経済学)。専門は「電力システムネットワーク論」著者に「IEC 61850を適用した電力ネットワーク- スマートグリッドを支える変電所自動化システム -」がある.ブログは映画感想を中心に書いている。
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