オススメ度:★★★☆☆(3.6)
理由:幸福とは一体何だろうか,
キャンピングカーを
住まいとすることは
一見楽しいように見えて,
実はそうではない.
路上生活ではなくて,
車生活になっただけ.
だから職を求めて
流動的に探すことは
できそうなんだが….
原作:漂流する高齢労働者
2008年のサブプライムローン,
リーマンショックにより,
多くの高齢者が家を手放した.
家を失った彼らにとって
寝泊まりは車.
そして正規雇用を求めても
高齢者には無理.
過去の経験も無関係で
容赦がない.
自分の居場所は何処なのか.
何処に向かっていくのか.
車上生活は決して,
キャンピングカーといった
遊び感覚ロマンなどは
存在しない.
一般に裕福層がレジャーで
するようなキャンピングとは
訳が違う.
あるようでないような自由.
それでも唯一の愉しみは
思い出の品を
キャンピングカーに
詰まっていることだ.
亡き夫との思い出の品.
本作品は実際に
車上生活を送っている
人々が起用されただけに,
リアルさが更に際立つのだ.
さすがオスカー女優
フランシス・マクドーマンドだ.
役作りのために本当に
Amazonの梱包作業を
体験するというプロ魂.
2018年に観た
「スリー・ビルボード」を思い出す.
変わらぬ大自然に,
人が必至に生きる姿.
魂を感ずる.
共感はするが感動は少ない.
人生の成功とは
何を持っていうのか.
正解とは何か.
ドキュメントタッチの作品.
夫に先立たれた彼女.
Amazonの仕分け作業.
キャンプ場でのバイト.
その日暮らしの生活.
現代遊牧民のような移動生活.
住み慣れた家を
失うということ.
偶然の出会いに
ご縁を感じる.
「See You again」
集団的無意識の
世界では
繋がっているように
思えてならない.
記憶.プライド.
定住しない
ノマド生活を
選好する人々.
エンドロールで
気づく実在の人々.
高齢化社会,
栄枯盛衰の企業街.
選好した道.
定住という選択も
合ったと思う.
昭和40年代の
高度成長期のヒッピーと
言われる生活者とは違う.
ホームレスではあるが
路上生活ではない.
車生活なのだから.
空,虚しさ,
それでも光が,尊厳が,
あるような作品だ.
これは孤独を
愉しんでいるの
旅をしているだろうのか.
路上生活ではなく
キャンピング生活を
する高齢者.
自分の両親が
そんな振る舞いをしたと
したら…,
止めるだろうか,
あるいは支援するだろうか.
自由と責任.
人は迷惑を掛けずに
生きる生き方は不可能に近い.
「ありがとう」
の中で人の恩や施し,
赦しによって
生きるしかないかもしれない.
となると,
最後のワガママを
どこまで,赦せるか
好きにさせるか
ということかもしれない.
人は必ず死ぬ.
自由を満喫するには
責任と周囲の理解も
必要なのかもしれません.
わかるけど…躊躇してしまう.
躊躇せずに
行動できるのは
凄いかもしれない.
身近にこうした
生活があるとしたら,
それは複雑な思いがするだろう.
たとえ働けたとしても,
過酷な労働環境で
安価の給料.
それでもプライドを
持ち続けることは
大変なことだ.
同じような環境の人との
触れ合い.
恵まれた環境に感謝だ.
経済不安は
生活不安に繋がる,
コロナを抑えつつ
経済を活性化する.
コロナ禍で考えさせられる作品だ.
投稿者プロフィール
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人財育成、技術系社員研修の専門家。東京都市大学特任教授。博士(工学)。修士(経済学)。専門は「電力システムネットワーク論」著者に「IEC 61850を適用した電力ネットワーク- スマートグリッドを支える変電所自動化システム -」がある.ブログは映画感想を中心に書いている。
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