オススメ度:★★★★☆(4.0)
理由:イタリアのコメディードラマ作品.
ストーリーは至って単純明快.
でも最後のオチがいかにも
イタリア映画らしい.
あのいい加減な主人公と妙に自分が
ラップして共感してしまう.
ズッコケて笑える.
人によってはクダラナイと
落第点がつきそうなシーンも
ありますが,それがイケてます.
無謀なバイク運転で命を
落とした主人公.
昇天して死の世界へ.
彼は,若すぎる死に
「死の世界」で閻魔様のような
区役所の役人のような人に
抗議して,ラッキーにも
生き返らせてもらい
精算時間の1時間32分
という人生のロスタイムを
手に入れる.
何でも人には,
その現世の行いによって
寿命が計算されているという.
その寿命計算を役人が
計算ミスをした…
という設定が面白い.
極めつけは,
その間違えた理由.
計算ミスの理由だ.
彼は野菜のスムージを
毎日飲んでいた.
その健康志向が
計算に入っていなかったというのだ.
実に滑稽だ.
その僅かな時間に
戻されて一体何をするか.
本当の幸せとは何なのか.
人は「死」を迎える瞬間に
様々なことが過るという.
彼の脳裏には,
全く家族のことは眼中にもなく,
他愛のない出来事が走馬灯のように
過ぎていく.
普段のちょっとした会話.
それと彼には似つかないような
彼にもったいないほどの
素敵な妻.
にもかかわらず浮気し放題.
子ども達は蔑ろ.
そんな彼の思考パターンに
妙に共感してしまう.
笑えるのだ.
いつ死ぬのか?
わかっていると人生が
変わるかもしれない.
いや,変わらないかもしれない.
懺悔をするわけでもなく…
普段は死を意識しない.
でも,もしもそんなことが
あったら,生きたいと願うし,
悔いが残るだろう.
やりたいことも
いっぱいあるだろう.
一足飛びに
夢は実現できないが,
普段の何気ない毎日が
如何に有り難いことか.
痛感するだろう.
人は死に対して,
有限であると知っている.
そうわかっているにも
かかわらず,
なぜこんなに時間を
無駄にして過ごしているのか.
もっと,あの時,妻と,
そして,子どもと,
かかわっておけば良かった…
そんな想いが過るものだ.
イタリア映画の独特の面白さ.
これぞ映画という醍醐味を感じる.
いい加減さと滑稽さが織りなす
ハーモニーは見事だ.
死の世界がまるで
区役所の手続きのようなシーン.
おびただしい人の待ち合いの人々.
大切な家族との時間.
先延ばしにし,
いつかそのうちに…
では通り過ぎていく.
今が大事で,楽しむことだ.
一日振り返って
記憶の残らない時間を
過ごすのは,
そろそろ止めに
しないといけないと思う.
投稿者プロフィール
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人財育成、技術系社員研修の専門家。東京都市大学特任教授。博士(工学)。修士(経済学)。専門は「電力システムネットワーク論」著者に「IEC 61850を適用した電力ネットワーク- スマートグリッドを支える変電所自動化システム -」がある.ブログは映画感想を中心に書いている。
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