無時限ループ,毎日が今日だとすれば…『パーム・スプリングス』

パーム・スプリングス

オススメ度:★★★★☆(4.0)
理由:生きている…
生き方そのものの問いが
隠されている.
メッセージ性がある作品だ.
時空を超えるタイムループ系で
どの人物も悪人はいない.
そういう作品は観ていて気持ちいい.

気がつけば,
毎日が同じ繰り返し…
ということはないですか?
魔の三角地帯…
行って帰るの繰り返し.
自宅⇒会社⇒飲み屋⇒自宅
自宅⇒会社⇒飲み屋⇒自宅

昨今はコロナ禍で
生活スタイルが変容したとはいえ,
パソコンスイッチON⇒会社メールチェック,
WEB会議,資料作り,パソコン電源OFF⇒
食事・団らん…その繰り返し.

少なくとも,今日という日が
明日も明後日も…
今日という時間に戻るような
無限時間ループではない.
しかし普段の生活は
時間が少なくとも流れていて,
ループにはなっていない.

でも…
その中身はループに
なっていないか?
スパイラルアップは愚か,
ただ無駄に肉体の摩耗劣化
いや老化していないか.

目標がなければ
ゴールもスタートもなく,
ただ同じところをグルグル…
回っているだけで,
何のアウトプットも
ない生活に陥っていないか.

場所はカリフォルニア州
パーム・スプリングス,
だからその名がついている.

ベッドから目覚めると,
恋人がいる.

「2019年11月9日」

その日は知人の結婚式.

怪しい洞窟は時空間の
歪をもたらす.

気がつけば,また
11月9日の朝がはじまる.

彼は無時限ループに囚われ,
毎日が同じ日.

様々なループの脱出方法を
当初は試みたものの,
気づけばもう何万回も
同じ11月9日を
繰り返している.
そして脱出を諦めて…
そんな毎日が続くとしたら.

日また登る…しかし,
その日は明日ではなく,
永遠の今日なのだ.

繰り返せる人生は,
失敗してもやり直しがきく.
たとえ失敗しても
死ぬことはない.
過ぎ去った時間が
また元に戻る.

何もしないで,
真夏のパーム・スプリングス,
プール中央で浮き輪と戯れる…
そんな毎日.考えて見れば羨ましい.

老化もない.

でも記憶は残る.
ということは,
経験だけ積み重ねて,
劣化しないということになる.

肉体も永遠のものになる.

そして,
繰り返される今日を
より良い今日にもできる.

軽い気持ちで挑戦もできる.
だから大胆なこともできる.

一見,
良いこと尽くめのように見える.

でも,老化があって,
時間が貴重で,
だからこそ,
失敗が致命傷になるからこそ
価値があるわけで.
そういう意味からすれば,
タイムループという存在は
価値が薄いのかもしれない.

今日があって明日があるから,
そして,エージング.
年老いていくからこそ,
劣化していくからこそ,
その日その日を充実した時間に
したいと思うのかもしれない.

今日が繰り返えされることは,
取り戻せるが,なんとなく虚しい.

結婚披露宴でのナイルズや
サラのスピーチには
何やら悟りのメッセージが
込められていて印象的だった.

老いるからこそ,
毎日が変化し,
今日という日が二度とこない
からこそ,
その儚さがいいのだ.

「偶然は偶然ではない」
どれも必然なのだ.

投稿者プロフィール

天雨 徹
人財育成、技術系社員研修の専門家。名古屋工業大学客員准教授。博士(工学)。修士(経済学)。専門は「電力システムネットワーク論」著者に「IEC 61850を適用した電力ネットワーク- スマートグリッドを支える変電所自動化システム -」がある.ブログは映画感想を中心に書いている。
詳細プロフィールはこちら。