一人でコレほどの作品を創るとは凄い!コマ撮り長編アニメ『JUNK HEAD』

JUNK HEAD(1)

オススメ度:★★★★☆(4.0)
理由:この世界観,
今の社会の皮肉が
込められているようにも思う.
人工生命体マリガンは
労働用ロボットとして
人類の奴隷的立場だった.
その地位から独立し自立.
地下社会を作り,その社会の
仕組みがまるで未来のようでもあり,
あのブレードランナーを
思い出させる.

マリガンを創造したのが
人間であるがため,
神として崇められる点も
ちょっとゾクっとする感覚だ.
面白い.今後の展開を注目したい.

ストップモーション・アニメの作品.
昔ながらの撮影方法.
SFXの一種.
静止している物体を
1コマ毎に少しずつ動かし
カメラで撮影・動画とするアニメ.
いわゆるコマ撮りだ.

しかもコマ撮りで
長編SFのストップモーション作品
というのは世界的にも珍しい.
CGを使わない作品として興味深い.

全編,堀貴秀監督ほぼひとりで,
7年間かけて制作した
長編SFストップモーション・アニメ作品だ.
アニメをネットや本で独学で学んだという.
ここまで仕上げるとは凄い人もいるものだ.

SDGsと地球環境に注目されて久しいが,
人類は地上を捨てて地下開発乗り出した.
開発にあたり,その労働力をロボット
ではなく,人工生命体マリガンに頼った.

しかし,その人工生命体は
自我を持ちはじめ,人類の敵となり,
反乱を起こして地下世界を乗っ取る.
その後1600年が経過し,
地上では新型ウィルスが蔓延し
人口の3割が失われた.

まさに人類存亡の危機.

エヴァンでは無いが「人類補完計画」として,
地下で独自の進化を遂げた
マリガンの調査をすることになった.

巧みに操り人形を動かして撮影する.
コマ撮りのパラパラ漫画作品だ.
キャラクターも自作.
実写映画を意識していたという.
声優を雇えない,
だから独自言語で喋ることを
目指したという.

まさに,この監督は天才だ.

遺伝子の組み換えが
異常となり,怪物も出現している.

『JUNK HEAD』は,
オフィシャルのホームページによると
3部作構想だという.

まるで,スターウォーズのようだ.

人類は進化し,
遺伝子組み換え技術により,
永遠の生命を手にした.

その代償に,生殖能力を捨て,
セックスを忘れた人類.

そんな人類が再び蔓延した
新型ウィルスに対抗するために
生殖機能の復活を見出すのか?

監督の世界観が素晴らしい.

人を神,つまり創造神と信じるマリガン.
そして,地下が本当に奥深い.
そんな,とてつもなく深い地下世界.

マリガンが支配する地下世界も
多種多様な民族が存在する.
差別や階級もありそうだ.
構成された階層の世界だ.

地上の人間界の生活では,
全てがARやMRの
世界となり,
蔓延した新型ウィルスで
人類は危機的状況になる.
もはやリアルな生身の
人間の接触などなく,
防塵服に包まれている.
一方,地下のマリガンの
世界では,女性が優位な
立場になっている.
差別こそあれ,
3人のヒーローっぽいマリガン,
そこには愛が存在する.

謎がいっぱい満載なのは,
3部構成のための
伏線なのかもしれない.

エンドロールには撮影風景が
垣間見れて良かった.

JUNK HEAD(2)

投稿者プロフィール

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天雨 徹
人財育成、技術系社員研修の専門家。東京都市大学特任教授。博士(工学)。修士(経済学)。専門は「電力システムネットワーク論」著者に「IEC 61850を適用した電力ネットワーク- スマートグリッドを支える変電所自動化システム -」がある.ブログは映画感想を中心に書いている。
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